2015 Fiscal Year Research-status Report
赤血球関連コレステロール代謝のメカニズムとその破綻の解明
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15K19174
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大川 龍之介 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (50420203)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 赤血球 / コレステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
赤血球関連コレステロール代謝機構を調べるために,以下の検討を行った. 1.赤血球からのコレステロール放出のアクセプター同定および放出機構の解析 (1)洗浄赤血球にアポリポタンパクA-I,アポリポタンパクA-II,精製したアポリポタンパクEを豊富に含むHDLおよびアポリポタンパクE非含有HDLを添加,インキュベーションし,コレステロール濃度を測定した.結果,HDLとは大きく異なり,アポリポタンパクA-I,A-IIではほとんど赤血球からのコレステロールの放出は認められなかった.また,アポリポタンパクEの有無ではコレステロールの放出に差がないことが明らかになった.よって,赤血球からのコレステロール放出には,上記以外のアポリポタンパク,脂質転送酵素,あるいは,リン脂質などのHDLに含まれる脂質が関与している可能性が示唆された.(2)アデニン,オルトバナジン(V)酸ナトリウム,グリブライド(ABCA1阻害剤)を用いた検討により,この放出には,少なくともATPを必要とするトランスポーターが関与していることが示唆された. 2.赤血球のコレステロール逆転送機構への関与の解析 赤血球によるコレステロール逆転送への関与を調べるために,初めに,トリチウム標識コレステロールを用いた泡沫細胞からのコレステロールエフラックス能の測定系を確立した(投稿中).次に,確立した測定条件を用いて,アポリポプロテインA-IおよびHDLによるコレステロールエフラックスの際に,赤血球も混在させ,その関与を調べた.その結果,赤血球数依存的に泡沫細胞由来のトリチウム標識コレステロールが転送されることが明らかになった.これは,赤血球もアポリポタンパクA-IやHDLだけでなく,コレステロール逆転送系に関与している可能性を示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度分の研究予定のコレステロール放出のアクセプターの同定と放出機構の解析は阻害の条件検討に予定より時間を要し,6割程度しか到達していない.しかしながら,その代わりに平成28年度に研究予定であった全研究計画の50%に相当する,”赤血球によるコレステロール逆転送機構への関与”についての研究はおおむね終了している.
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Strategy for Future Research Activity |
まだ目標に達していないコレステロール放出機構の解析をさらに続けるとともに,平成28年度予定の残りの半分である修飾HDLが赤血球コレステロール放出に与える影響について研究を進めていく.阻害の条件検討に時間を要したが概ね定まっており,今年度は順調に実施できるものと考えている.また,予定している修飾HDLの作製方法はほとんど確立しており,予定通り研究を遂行できるものと考えている.
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[Journal Article] Effects of myeloperoxidase-induced oxidation on antiatherogenic functions of high-density lipoprotein.2015
Author(s)
Kameda, T., Ohkawa, R., Yano, K., Usami, Y., Miyazaki, A., Matsuda, K., Kawasaki, K., Sugano, M., Kubota, T., and Tozuka, M.
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Journal Title
Journal of Lipids
Volume: 2015
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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