2015 Fiscal Year Research-status Report
細胆管癌および肝内胆管癌の腫瘍発生に関わるインテグリンβ4,β6の発現と機能解析
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15K19175
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
副島 友莉恵 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (60596964)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 癌の浸潤 / 癌の進展 / インテグリンβ6 / テネイシンC / インテグリンβ4 / 肝内胆管癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝内胆管癌および細胆管細胞癌においては、その発生母地と発現形質の特徴から分類について国内外ともに未だ議論の余地があり、これらの腫瘍本態の性質を解明し分類することが必要とされている。本研究では、肝内胆管癌、細胆管細胞癌の組織材料および株化培養細胞を用いて、インテグリンβ4およびβ6とその細胞外基質を介した腫瘍形成に関連する因子を詳細に検討し、さらに両者の鑑別が困難な非典型例や混合型肝癌における発現を解析することにより、肝内胆管癌と細胆管細胞癌の腫瘍発生機序を解明することを目的としている。 本年度は、肝内胆管癌組織においてβ4とそのリガンドであるLaminin-5、β6とそのリガンドであるTenascin Cの発現を免疫組織化学的に解析した。その結果、β4は96%、β6は73%で発現が見られ、臨床病理学的解析を行うと、発生部位別では傍肝門部型で末梢型より強い発現を示し(β4:70%vs32%, β6:50%vs18%)、肉眼型別では腫瘤形成型と比較して胆管浸潤型および胆管内発育型を含む例で強い発現を示した(β4:31%vs100%)。分化度では高分化型および中分化型と比較して低分化型で有意に低い発現がみられた(β4:51%vs8%、β6:34%vs0%)。さらに、膨張性発育と比較して浸潤性発育で強い発現を示し(β4:22%vs56%、β6:13%vs36%)、胆管侵襲の有無とも関連する可能性が示された(β4:58%vs18%、β6:35%vs14%)。β6の発現は、Tenascin Cの発現と相関がみられ、さらにEMAの細胞質型で強く、膜型で弱い発現がみられ、EMA発現パターンとの関連が示された。β4およびβ6の発現は共に、肝内胆管癌の発生部位、肉眼型、分化度、発育形式、胆管侵襲と関連することが明らかとなり、癌の浸潤や進展と関わる可能性が考えられた。さらに、大型胆管から発生する癌と末梢小型胆管から発生する癌では性質が異なる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、組織材料を用いた免疫組織化学的解析を実施予定であった。材料収集と免疫染色はすべて終了しており、少量の解析が残るのみである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は計画通り、in vitroにおいて胆管癌の浸潤や進展の機序を調べるため、胆管癌および混合型肝癌株化培養細胞を用い、細胞外基質コートディッシュ上で培養し、β4, β6インテグリンの発現を遺伝子、蛋白レベルで解析する。 さらに、株化培養細胞におけるβ4, β6の遺伝子を抑制し、遺伝子レベル、蛋白レベルで形質変化を解析する。 siRNAによる遺伝子抑制など、本研究室での新たな手法を用いる場合は、同研究科内研究室や研究協力者の協力を得る。
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Causes of Carryover |
今年度は免疫組織化学的および組織学的解析が主であったが、使用抗体量を節約したり、研究協力者からの分与が可能であったため、より予算がかかる分子生物学的解析を行う次年度に使用する予定とした
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高価な試薬を使用するリアルタイムPCRやsiRNA実験、培養細胞の保持のために使用する
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Research Products
(1 results)