2016 Fiscal Year Research-status Report
自律性血管運動を応用した新しい血管内皮・平滑筋機能検査法の開発とその有用性の検討
Project/Area Number |
15K19178
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡辺 彰吾 岡山大学, 保健学研究科, 講師 (20548341)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 血管内皮機能 / 動脈硬化 / vasomotion / メタボリックシンドローム / NASH |
Outline of Annual Research Achievements |
自律性血管運動(vasomoiton)は、細動脈において栄養や酸素を効率よく運搬するための自律的な血管収縮・拡張運動である。申請者は上腕部のvasomotionを記録し、その各周波数成分が虚血性心疾患に潜む血管内皮機能障害、腎機能障害、炎症、糖尿病と関連することを発見した。このvasomoitonは駆血の必要がないため、従来の血管内皮機能(FMD)検査法よりも簡便で再現性が良く、適用血管も限局されない可能性を有している。したがって、vasomotionは新しい血管内皮機能の評価法となりうるが、そのメカニズムや有用性については詳しく検証されていない。本研究の目標は、「自律性血管運動(vasomotion)を応用した新しい血管内皮・平滑筋機能検査法の開発とその有用性の検討」であり、以下の実験を行った。 H27年度に岡山大学に移籍したために、申請時のメタボリックシンドロームのモデルラットから、非アルコール性脂肪肝・動脈硬化モデルであるSHRSP5/Dmcrラットに変更した。本モデルは、安価かつ高脂肪食下で動脈硬化を発症するため、本実験の遂行に適している。H28年度では、9週齢でSHRSP5とWKYラットを入手し、10週齢で高脂肪食を付加し、毎週摂食飲水量、体重、血圧を測定、16週齢にOGTT・ITT試験、17週齢に心臓エコー検査、18週齢にサクリファイスによる臓器重量測定・保存を行なった。その結果として、SHRSP5ラットには新たに心臓の拡張機能障害が認められた。本成果は現在、海外ジャーナルに投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度には、岡山大学への移籍によって、使用する実験モデルの変更を余儀なくされたが、実験そのものは順調に遂行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
SHRSP5モデルは、先行研究の通りに腸間膜動脈への脂質沈着を認めたが、大動脈や冠動脈の動脈硬化には至らなかった。したがって、H29年度にはNO合成阻害物質であるL-NNAを投与して、さらに動脈硬化を進展させてvasomotionの変化を考察しやすくする。
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Causes of Carryover |
予想していたよりも、使用する消耗品が少なかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本実験を円滑に実施するため、機器部品や消耗品を購入する。
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