2016 Fiscal Year Research-status Report
生体試料中の酸化・還元物質の影響を受けない超高感度検出法の開発とその発展性の検証
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15K19182
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
外園 栄作 九州大学, 医学研究院, 講師 (60404042)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 過酸化水素 / 金属器レータ / 高感度化 |
Outline of Annual Research Achievements |
過酸化水素の高感度検出系の構築を目指してpH,モル濃度の異なる様々な緩衝液を選択・作成し,これらを用いて各種金属・金属キレーターのそれぞれの濃度を変えながら過酸化水素と反応させ,より高感度に発色する組み合わせについて検討を行ってきた。その結果、前年度までに見出した金属・金属キレーターの組み合わせよりもさらに高感度に過酸化水素を検出可能な組み合わせを見出すことができた。この組み合わせは、従来の検出感度のおよそ10倍の感度を持つ。 検出にあたり目的物質である過酸化水素が測定環境において不安定であっては、検出そのものが難しくなることを踏まえ、過酸化水素の安定性について検証を行った。その結果、反応環境は酸性側が至適な環境であるが、その環境においても測定対象である過酸化水素を検出するのに必要な時間内において十分な安定性を持つことが確認ができた。 これらの条件をもとにして、本測定系の再現性、直線性などの基礎的な性能評価を行った。 結果、いずれの基礎的性能評価においても問題なく、過酸化水素溶液を検体に用いた水溶液ベースにおける基礎的性能評価は良好であった。 しかし、生体試料中には反応を妨害する物質が多く存在する。その代表的な物質が還元性を示すアスコルビン酸やビリルビンである。これらを用いて本法における妨害試験を行った。結果、これら還元性を示す物質により反応の妨害を大きく受けることが判明した。ある程度は予想の範囲内のことではあったが、その影響の回避策に現在苦慮しており、現時点での課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの検討において感度面においてまだ不十分な点が課題として残っていたが、さらに高感度に過酸化水素が検出可能な金属と金属キレータの組み合わせを見出すに至った。また、検出環境における測定対象部物(過酸化水素)の安定性も確認でき、本法における基礎的性能評価を得るに至った。しかし、生体試料中に含まれる還元物質の影響試験において、アスコルビン酸、およびビリルビンの影響を大きく受ける結果となった。この点を解消する方法を現在模索中であるが、解決には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
生体試料中に含まれる還元物質の影響回避策をさらに検討するとともに、実試料測定に向け、酸化酵素から得られる過酸化水素が本測定系に適応可能かどうかの検証を行う予定である。その段階で、現在使用されている測定試薬との相関試験などを行う予定にしている。
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