2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K19193
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
加茂 敦子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (50614088)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 難治性痒み / ドライスキン / 浸透圧 / 表皮ケラチノサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎など難治性の痒みには抗ヒスタミン薬が奏功しない。このことから、難治性痒みの発生機序にはヒスタミン以外の起痒因子の関与が考えられる。このような難治性痒みを伴う疾患には共通して皮膚の乾燥(ドライスキン)が認められることから、ドライスキンの痒みの発生機序は、難治性痒みの発生機序の理解につながると考えられた。 生体の内部環境を規定する因子には、酸塩基平衡(pH)、体温、浸透圧などがあり、これらの破綻は生命を脅かす様々な疾患の引き金となる。近年、皮膚のpHや体温の変動と難治性痒みとの関連が研究され、これらが痒みの発生機序に関与することが示唆される。ドライスキンでは、皮膚バリアの脆弱化、もしくは破綻に起因し、体の内部と外部の水分移動を容易にすることから、表皮内浸透圧環境の変動を誘導すると考えられる。しかしながら、これまで表皮内浸透圧の変動と痒みの発生に着目した報告はない。 これまで申請者はアセトン・ジエチルエーテル混合溶液(AE)による皮膚バリア破壊と水処理(W)の反復によって作製したAEWドライスキンモデルマウスの皮膚を解析し、その表皮において浸透圧関連タンパクが変動している可能性を捉えた。興味深いことにその変動はAE群とAEW群で差が認められた。さらに、培養ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)を用いて、浸透圧関連遺伝子発現の変動を解析した。その結果、低浸透圧または高浸透圧の培地交換による刺激が動物モデルで認められた浸透圧関連タンパクのmRNA発現を変動させることが明らかとなった。このことから、かゆみが認められるAEWドライスキンの表皮において浸透圧変動が起こっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
動物モデル、浸透圧調整培地を用いた実験において、当初予定していた発現解析が完了していない。
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Strategy for Future Research Activity |
動物モデルと浸透圧調整培地を用いた検討から、バリア破壊直後に変動する浸透圧関連因子が明らかとなった。今後、この因子の変動に着目し、起痒物質発現への影響を検討することで、かゆみとの関連を明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度は申請者の異動により職務が変化し、新たな研究環境の整備に時間を費やす結果となった。次年度はこれまでの結果をもとに、効率を考え、着実に実験を遂行する予定である。 延長申請により平成30年度繰越金額591,196円の使用計画は以下の通りである。消耗品費:500千円、人件費・謝金:90千円
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