2016 Fiscal Year Research-status Report
成人および小児体幹部CT検査における各患者体型に適した撮影条件の検討
Project/Area Number |
15K19202
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤井 啓輔 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (40469937)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 医療被ばく / 放射線防護 / 臓器線量 / 低コントラスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、線量および画質評価に基づいて体幹部CT検査における体型に適した撮影条件を検討することを目的としている。一般的に、線量を低減すると画像ノイズ(主にX線量子ノイズ)が増加することで、正常組織とのCT 値差が小さい病変等を描出できる能力(低コントラスト分解能)が低下すると考えられている。つまり、被ばく線量と画質との間には、トレードオフの関係があるため、診断画質に影響を与えない範囲で線量を低減するには、被ばく線量および画質を定量的に評価し、両者のバランスが取れた撮影条件を検討する必要がある。しかし、このような検討を行うには、人体の体幹部形状を模擬した画質評価ファントムが欠かせない。そこで、今年度は、成人体型を模擬した低コントラスト評価用ファントムの作成を目標とした。最初に、成人の代表的体型を把握するため、過去に体幹部CTを受診した成人患者(100例程度)のCT画像を用いて、被写体サイズ(縦径、横径、周囲長、面積等)および各組織・臓器のCT値等を測定した。また、ファントムのベース素材(生体軟組織等価材質)およびファントム内に設置する模擬腫瘤の素材を検証するため、素材配合を変えたサンプル樹脂を作成した。作成した複数のサンプル樹脂を複数のCT装置で撮影し、各CT画像のCT値測定結果に基づいて、ファントムのベース素材および模擬腫瘤の素材を決定した。模擬腫瘤サイズは3~10mm、模擬腫瘤のCT値はファントムのベースのCT値より5~15HU高いものを想定し、この模擬腫瘤をファントム内に複数個配置して、低コントラスト評価ファントムを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度において、成人体型を模擬した人体ファントムのCT画像、CT装置のジオメトリや撮影条件に関する各種パラメータを設定し、モンテカルロシミュレーションを行うことで、臨床CT検査で日常的に利用されている管電流変調機能使用時におけるCT受診者の各組織・臓器の吸収線量を評価した。また、シミュレーションにより評価した線量値と人体ファントムおよび蛍光ガラス線量計を用いて実測により評価した線量値とを比較・評価し、シミュレーションにより評価した線量値の推定精度を評価した。今年度では、これらの線量評価結果をまとめ、海外の学術雑誌に論文を投稿し、掲載された。 また、今年度は、成人体型を模擬した低コントラスト評価用ファントムの作成を目標としていた。CT受診者のCT画像を用いて、被写体サイズ(縦径、横径、周囲長、面積等)および各組織・臓器のCT値等を測定し、ファントムのサイズを決定した。そして、ファントムのベース素材(生体軟組織等価材質)およびファントム内に設置する模擬腫瘤の素材を検証したうえで、サイズおよびCT値が異なる模擬腫瘤をファントム内に複数個配置し、低コントラスト評価ファントムを作成した。作成したファントムをCT装置で撮影し、ファントムのCT画像を用いて、ファントム内に設置した各模擬腫瘤のサイズおよびCT値を測定したところ、当初、予定していた値とおよそ合っていることが確認できた。 従って、今年度において成人体型を模擬した低コントラスト評価ファントムを作成できたことで、本研究は、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方策について、以下の項目の実施を予定している。 1.各CT受診者に対する被ばく線量評価 2.低コントラスト評価ファントムを用いた画質評価 項目1については、各CT受診者のCT画像を用いて受診者の体型モデル(ボクセルファントム)を作成し、CT装置と被検者の体型モデルをコンピュータ上で再現して、モンテカルロシミュレーションを行うことで各受診者の線量分布を推定する。得られた線量分布画像を用いて、各臓器の臓器線量を評価し、患者体型によって線量がどの程度異なるか評価する予定である。 項目2については、複数のCT装置を用いて、撮影条件および画像再構成条件に関するパラメータ設定を変えて、低コントラスト評価ファントムを撮影し、CT画像を取得する。得られたCT画像に対し、画像解析ソフトウェアを用いて、統計学的ノイズ評価法、コントラスト-ノイズ比(CNR)解析法を用いて、画像ノイズ、低コントラスト分解能等について評価を行う。また、近年のCT 装置に備わっている線量低減機構使用時の被ばく線量および画質を評価し、線量低減効果について検討する。さらに、逐次近似を利用した画像再構成により得られたCT画像の画質についても評価することで、体型に適した撮影条件を検討する。これらの各項目で得られた研究成果については、随時、国内外で開催される学会や国際会議等で発表し、また、学術雑誌への投稿論文として国内外に発信する予定である。
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[Journal Article] Development of age-specific Japanese physical phantoms for dose evaluation in infant CT examinations2016
Author(s)
Chiyo Yamauchi-Kawaura, Keisuke Fujii, Keiichi Akahane, Masato Yamauchi, Satoshi Obara, Kazuhiro Narai, Toshihiko Katsu, Kuniharu Imai, Mitsuru Ikeda,
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Journal Title
Radiation Protection Dosimetry
Volume: 171
Pages: 483, 502
DOI
Peer Reviewed
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