2015 Fiscal Year Research-status Report
運動器へのカテーテル塞栓術における至適プロトコールの検討
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15K19209
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小黒 草太 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50383716)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 運動器 / カテーテル |
Outline of Annual Research Achievements |
運動器へのカテーテル動脈塞栓術は、近年注目されている新しい低侵襲治療の一つである。慢性的な関節炎に対して微小な新生血管と痛みの強い結びつきがあることが報告されており、さらに近年、動脈内へカテーテルを挿入し、関節周囲の炎症性変化に生じた微小な新生血管を塞栓する「運動器へのカテーテル塞栓術」で、痛みが劇的に改善することが判明した。しかし、運動器へのカテーテル塞栓術では至適な薬剤投与量が不明で、四肢末梢に対する障害の程度も検討されておらず、経験に基づいた治療が行われているのが現状である。よって、我々はブタを使った動物実験で四肢末梢へのカテーテル塞栓術を行い、様々な塞栓物質による塞栓効果を比較検討し、また、病理的見地から四肢末梢への障害を検討し、運動器へのカテーテル塞栓術における最適なプロトコール解明を試みている。本年度は、ブタの炎症モデルの作成と飼育実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はブタの実験を行った。まず、慢性関節炎のモデルを作り出せるかどうかが大きな懸案となっていたが、無水エタノールを靭帯に注入することで、慢性関節炎を作り出せることが判明した。血管造影上も、慢性炎症の部位に一致して、微小な血管の増生が確認され、エンボスフィアを用いた塞栓によってその微小な血管が描出されなくなることも判明した。また、塞栓後3週間程度飼育することで、運動制限の有無を確認することができた。さらに、靭帯、皮膚の病理標本を作成し、末梢血管に塞栓物質がどのようにして存在しているかも評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ブタを用いた塞栓の実験を繰り返す予定。 塞栓物質には一時塞栓物質といって数日で溶けてしまうものや永久的に血管内に残り塞栓状態を保つものがあり、いずれも複数の種類が存在している。大きさを合わせた異なった塞栓物質を用いて塞栓術を行った上で、1週間-1ヶ月飼育を行い、虚血症状の有無を確かめる。塞栓直後の変化だけではなく、短期予後の判定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
ブタ実験が予定より格安で施行することが可能であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はブタの実験回数を増やす予定である。
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