2016 Fiscal Year Research-status Report
Development of risk adjustment method for longitudinal epidemiological research using the Japanese National Insurance Claims Database
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15K19220
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
佐藤 大介 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (10646996)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レセプト情報 / 臨床疫学 / データベース / 社会医学 / 統計解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の実績として3件を挙げる。 第1に、第 31 回レセプト情報等の提供に関する有識者会議(平成28年6月29日)の参考人として「レセプト情報等オンサイトリサーチセンターの試行的利用に関する中間報告」を行なった。第2に、第22回日本薬剤疫学会学術総会(平成28年11月18日)シンポジウム2のシンポジストとして「医療データベース利活用の国内基盤の最新状況」にて成果報告を行なった。第3に平成29年6月19日よりイタリアで開催される国際学会(HTAi)において"The Construction Of Database Using Japanese National Claims Database "として成果発表を行うこととなった。本成果はInternational Journal of Technology Assessment in Health Care(IJTAHC)に掲載予定である。
さらに本研究により得られた知見から新たな研究が採択された。 平成28年度は2件、①(基盤B・分担)「レセプト分析に資するレセプト各種コードの新たな分類および分析ツール開発に関する研究」、②(厚労-政策-指定 研究協力者)「医療経済評価の政策への応用に向けた標準的手法およびデータの確立と評価体制の整備に関する研究」が採択され、研究は計画通り達成した。 平成29年度は4件、①(基盤C・分担)「医薬品・医療機器の費用対効果評価におけるNDBの活用可能性の検証」、②(厚労-医療-一般 分担)「大規模医療データを利用した医療ICT利用の効果検証に関する研究」、③(厚労-政策-指定 分担)「患者調査等、各種期間統計調査におけるNDBデータの利用可能性に関する評価」、④(厚労-政策-指定 研究協力者)医療経済評価を用いた意思決定のための標準的な分析手法および総合的評価のあり方に関する研究
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、厚生労働大臣が保有する医療費の明細書であるレセプト情報を匿名化し収集した大規模診療報酬データベース(以下、「レセプト情報」という) を学術研究の発展に資する目的で行う分析のために、臨床上の傷病概念をレセプト情報の特性を活かしたリスク調整法の開発を通じ、縦断的疫学研究に必要な診療情報の抽出および患者重症度等のリスク調整を可能とする手法を確立することである。 本研究の対象は、合併症のエビデンスが明確かつ保険診療に医療の質が評価されている脳血管疾患を対象に実施した。具体的には1.くも膜下出血、2.破裂脳動脈瘤、3.未破裂脳動脈瘤、4.外傷性頭蓋内血腫、5.非外傷性硬膜下血腫、6.脳梗塞である。当該疾患の合併症は臨床的エビデンスに基づく36の傷病とした。 平成27年度より利用した「基本データセット」の利用期間が終了したことと、政府によるレセプト情報等データベースのさらなる利活用の推進政策の結果、東京大学オンサイトリサーチセンターが平成27年12月に設置されたことから、新たなデータ利用の申出を行い、厚生労働大臣の許可を得た。我が国では本申出を含む4件のみが採択されていることからも当該研究の進捗は予定通り進んでいることを示している。これらにより、レセプト情報は対象期間(2年間)や利用可能な診療行為に制限(上限256項目まで)があったが、対象期間が6年間かつ診療行為の制限が撤廃され、研究成果の精度と汎用性が革新的に向上した。 研究計画に記載した退院経路別の患者追跡の評価 については、患者の退院経路と医療の質の関係に着目した臨床疫学研究のため、レセプト情報から入院患者のレセプトを、入院前エピソード、入院中エピソード、転院・退院後エピソードの区分に分け、エピソード単位の医療費、患者状態、診療内容、医薬品処方内容を明らかにするデータセットを開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に記載した学術団体や国の基本統計との整合性の評価については、対象疾患における患者数や脳梗塞の再発の実態について、脳卒中ガイドラインを作成している日本脳卒中学会等と連携し、レセプト情報による集計結果と臨床における実態との整合性を評価する。 さらに本研究で得られた知見と研究協力者の臨床的知見を基に、脳血管疾患において非弁膜症性心房細動(NVAF)の脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)患者の再発予防のために行われる抗凝固療法についての経済評価研究へ応用させる予定である。 これらにより得られた研究成果は国内外の学会等へ発表を行う予定である。具体的には、「Stroke」等の海外のCore Clinical Journalへの投稿や、医療経済学会および臨床疫学学会等、国内学会および和文雑誌への学術論文の投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
平成28年度1月4付にて、東京大学医学部附属病院 企画除法運営部 助教から国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部 主任研究官へと異動したことから、平成28年度における使用額の一部については異動し研究費の移管手続き終了後に執行する計画へ変更した。 研究費の移管は計画通り行われたが、年度末における手続き等の理由から次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額として、研究計画に必要な臨床医等への謝金や研究成果報告に必要なポスター印刷費用や英語論文のネイティブチェック費用を予定している。
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