2015 Fiscal Year Research-status Report
幼児期における自己制御機能の発達とその規定因に関する研究
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15K19222
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
浅野 良輔 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (50711909)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 幼児期 / 自己制御機能 / 出生コホート |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「浜松母と子の出生コホート」(HBC Study) にエントリーしている、1000名を超える幼児期の子どもを対象に、自己制御機能に関する発達検査を研究協力者とともに行った。まず、Cardiff Infant Contentiousness Scale (Hay et al., 2010) を用いて、たたく、かみつく、怒る、かんしゃくを起こすといった子どもの攻撃性を測定した。また、Early Childhood Behavior Questionnaire (Putnam et al., 2006) を施行し、活動性、フラストレーション、衝動性、動作の活発さ、刺激への敏感さ、社会性をはじめとした18の側面からなる子どもの気質を測定した。 これらのデータを分析した結果、以下の2つの成果が得られた。第1に、妊娠中に測定された母親の社会性の問題は、産後4週における抑うつ症状を高めるとともに、その産後抑うつ症状が、子どもの攻撃性を高めることが示された。この知見は、査読付きの英文雑誌に掲載されることが決まっている。第2に、産後2週、4週、8週、40週における母親の抑うつ症状は、その程度や変化のパターン(発達軌跡)によって6つのタイプに分かれることが占めされた。こうした産後抑うつ症状の発達軌跡は、母親の自閉症スペクトラムに似た行動傾向によって予測されたり、はじめから一貫して高い産後抑うつ症状を呈することが、子どもの攻撃性を高めたりすることも示唆された。この知見を国内の学術大会にて報告した(優秀大会発表賞受賞)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度中に、当初予定していた子どもの自己制御機能に関する発達検査が終了した。また、コホートデータの整理や統計解析の準備についても、見通しを立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、母親の行動傾向やメンタルヘルスの問題が、子どもの自己制御機能に与えるネガティブな影響をメインに検討した。今後は、これらの心理社会的要因に加えて、子どもを取り巻く自然環境要因が自己制御機能に及ぼす影響を明らかにするつもりである。その一つとして現在、子どもの出生季節が攻撃性や気質に与える影響について解析を進め、学術論文としてまとめるための構想を練っている段階である。
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Research Products
(4 results)