2016 Fiscal Year Annual Research Report
influenza virus replication capacity and the factor for prevention of severe influenza
Project/Area Number |
15K19228
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
常城 朱乃 鳥取大学, 医学部, 助教 (90632901)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | インフルエンザウイルス / 増殖能 / 細胞傷害性 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザの重症化症例の調査は、世界的に新しい試みであり、既存の調査項目は、患者のワクチン接種歴、他の病原体との重複感染、インフルエンザウイルスの型・亜型な どに限られている。より詳細な重症化指標が求められる中、我々は、インフルエンザウイルス株が持つ増殖能という性質に注目し、株による違いを解析してきた。 2009年以降現在まで7回の流行期に、合計3,227鼻汁検体よりウイルス分離を試み、2,902株の分離に成功し、555株について型・亜型を決定した。これらの株のうちの151株について増殖能を解析した結果、株間に増殖能の違いがみられ、新型の登場した2009年を除き、全ての流行期に、明らかに増殖能の違うウイルスが検出された。また、増殖能はin vitroでの継代に影響を受けず、安定して評価可能であった。 インフルエンザ重症化例の少なくとも一部に細胞傷害、特に肺胞上皮の傷害が大きく関与していることが、2009年流行期に死亡解剖体の病理所見に確認されていることから、インフルエンザウイルスの細胞傷害能を、増殖能と比較するパイロット調査を行ったところ、A(H1N1)亜型とB型については、増殖能が高いほど細胞傷害率が高い結果を得た。一方、A(H3N2)亜型には、増殖能と細胞傷害能との関連がみられなかった。増殖能の高さが必ずしも細胞傷害に関連しない株についての原因は、今後の課題として残されている。 インフルエンザの重症化予測因子の開発は、今後の世界的課題である。インフルエンザウイルスは、株により増殖能に大きな違いがあり、増殖能が高いほど細胞傷害能も大きいことを示していた。このことは、増殖能が有望な重症化予測因子であることを示唆している。
|