2015 Fiscal Year Research-status Report
髄膜脳炎を惹起するB. mandrillarisの 国内棲息状況と感染経路の解明
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15K19240
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山内 可南子 弘前大学, 保健学研究科, 助手 (80740810)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自由生活性アメーバ / Balamuthia mandrillaris / 土壌 / 生息域 |
Outline of Annual Research Achievements |
自由生活性のアメーバは我々の生活環境下に存在し、土壌、海水、室内などの多様な環境下から分離され世界中で報告されている。これら自然環境下に棲息する自由生活性アメーバの多くは長い間非病原性であると考えられてきた。しかし近年、ヒトに感染し髄膜脳炎、皮膚アメーバ症、アカントアメーバ性角膜炎などを惹起する自由生活性アメーバが確認され、中でもBalamuthia mandrillarisによるアメーバ性肉芽腫性脳炎の報告が増加している。本アメーバの感染源や感染経路は土壌との接触と言われているが、国内の調査報告は皆無である。初年度、我々は青森県土壌を複数個所で採取し、DNA抽出によるスクリーニングを行った。スクリーニングでは約50%の土壌にBalamuthia 遺伝子の確認がなされた。またスクリーニングの結果に関わらず土壌の培養も行い、現在10検体以上のLeptmixed Amoebaを分離している。単離に至ったLeptmixed Amoebaは、16srRNA遺伝子解析を行った。その結果、1種のLeptmixed AmoebaがB. mandrillarisであることとを確認し、国内で初めてB. mandrillarisが土壌環境に生息していることを明らかにした。次年度は、生息特性や分布域を明らかにするため、調査地域を拡大し大規模調査を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Leptmixed Amoebaの種の同定を行うために、アメーバの単離は必要不可欠である。そのため採取した土壌は培養後に、複数回から数十回の培地移植を繰り返す。B. mandrillarisの世代時間は24時間以上とも言われており、その他の土壌由来細菌真菌類に培地が次々と汚染される。そのために、初年度は単離と種の同定に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在土壌の採取は東北地方を中心に行っている。採取した土壌は、土壌DNAによるスクリーニングと培養法を併用し、B. mandrillarisの生息調査を継続する。また今後は土壌培養で、真菌細菌の汚染に関わらず、培養寒天上で有意なLeptmixid amoebaの培養が可能となったとき、Balamuthia 16s rRNA領域を用いたPCRを実施し、アメーバのクローニング前に種の同定を進める。この処理を実施することで培養効率を改善する。また、寒冷な地域である青森県でB. mandrillarisが分離されたことから、より寒冷な気候を持つ北海道の土壌の解析を重点的に行う予定である。
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Causes of Carryover |
土壌採取地域を東北に限定したため、旅費使用額が初年度抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、東北以外の土壌採取へ向かうため旅費として使用予定である。
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