2015 Fiscal Year Research-status Report
発現ネットワーク解析とエピゲノム情報に基づくアディポネクチン発現パスウェイの解明
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15K19242
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中杤 昌弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10559983)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エピゲノム / レジスチン / アディポネクチン / バイオインフォマティクス / DNAメチル化 / SNP / 生活習慣病 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、遺伝子発現ネットワーク解析と、遺伝子発現・DNAメチル化・SNP情報の統合解析により、後天的ゲノム修飾が血中アディポネクチン濃度に如何なる影響を与えるのか、アディポネクチン発現パスウェイの調査・解明を目的とする。 今年度は、公開されている脂肪組織の遺伝子発現データを基に発現ネットワーク解析を行い、ADIPOQ遺伝子と共に発現制御が行われるADIPOQモジュールの探索を進めた。公開されているマイクロアレイデータにはAffymetrix社、illumina社、Agilent社製等様々なプラットフォームが存在するため、最初にどのデータにも対応できるよう解析体制を構築した。次に公開データベースから皮下脂肪組織の発現データを検索、元となる文献を精査して、解析対象データセットを5種類に絞り込んだ。これらのデータに対しCorrelation networkに基づくネットワーク解析を実施し、ADIPOQモジュールの同定を行った。また同定したADIPOQモジュールの中で、半分以上のデータセットでADIPOQとのつながりが観測された7遺伝子観測できた。 上記と平行して、同じアディポサイトカインである血中レジスチン濃度についても後天的ゲノム修飾を介した発現パスウェイの調査・解明を行った。公開されている単球の遺伝子発現データとメチル化アレイデータを特定し、統合解析を実施した。その結果、我々が以前の研究で同定した血中レジスチン濃度関連メチル化サイトcg02346997やcg22322184が単球においてもレジスチン遺伝子の発現量と有意に(P<1.00 x 10-10)寄与していることが見出された。この結果は、単球ではcg02346997やcg22322184のメチル化レベルを介してレジスチン遺伝子発現量を調節し、その結果として血中レジスチン濃度を調節している可能性を示している。本成果は、今年度論文投稿し、Diabetologiaに採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画時に、公開されている脂肪組織の遺伝子発現データを基に発現ネットワーク解析を行い、ADIPOQ遺伝子と共に発現制御が行われるADIPOQモジュールを探索することを予定していた。結果として、様々なマイクロアレイデータに対応できるよう解析体制を構築することに予定より時間がかかったものの、5種類の公開データセットを取得し、ADIPOQモジュールの同定及び、データセットを通して高頻度に観測された7遺伝子を特定できた。また、同じアディポサイトカインであるレジスチンについても、公開データを用いた解析により、DNAメチル化サイトを介した発現機構について新たな知見を得ることができた。この様に研究計画時の目的を達成できている事から、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に得られたADIPOQモジュール、特に高頻度に観測された7遺伝子に対して、公開されている遺伝子発現データ・メチル化アレイデータを用いて、ADIPOQモジュール及びADIPOQ遺伝子の発現量と関連するDNAメチル化サイトを探索する。 また、公開データの中には、皮下脂肪以外の脂肪組織データも存在した。これらのデータを追加した場合の解析についても検討する。
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Causes of Carryover |
マイクロアレイデータにはAffymetrix社、illumina社、Agilent社製等様々なプラットフォームが存在するため、どのデータにも対応できるよう解析体制を構築した。その解析体制構築に時間がかかったため、スーパーコンピュータを使用したネットワーク解析が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マイクロアレイの解析体制が構築でき、様々な発現データの解析が可能となったため、今後計画より多くのデータに対してスーパーコンピュータを使用したネットワーク解析を適用する。
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[Journal Article] Epigenome-wide association study suggests that SNPs in the promoter region of RETN influence plasma resistin level via effects on DNA methylation at neighbouring sites2015
Author(s)
Nakatochi M, Ichihara S, Yamamoto K, Ohnaka K, Kato Y, Yokota S, Hirashiki A, Naruse K, Asano H, Izawa H, Matsubara T, Yokota M
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Journal Title
Diabetologia
Volume: 58
Pages: 2781-2790
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] エピゲノムワイド関連研究と一塩基多型(SNP)の統合解析による血漿レジスチン濃度調節機構の解明2016
Author(s)
中杤昌弘, 市原佐保子, 山本健, 大中佳三, 加藤洋介, 横田成紀, 平敷安希博, 成瀬桂子, 浅野展行, 井澤英夫, 松原達昭, 横田充弘
Organizer
第26回日本疫学会学術総会
Place of Presentation
米子コンベンションセンターBigShip(鳥取県米子市)
Year and Date
2016-01-21 – 2016-01-23
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[Presentation] Epigenome-wide association study suggests that SNPs in the promoter region of RETN influence plasma resistin level via effects on DNA methylation at neighboring sites2015
Author(s)
Nakatochi M, Ichihara S, Yamamoto K, Ohnaka K, Kato Y, Yokota S, Hirashiki A, Naruse K, Asano H, Izawa H, Matsubara T, Yokota M
Organizer
ASHG 2015
Place of Presentation
Baltimore, USA
Year and Date
2015-10-06 – 2015-10-10
Int'l Joint Research