2016 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザに対する学校・学級閉鎖の地域流行防止効果を検討する離島での疫学研究
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15K19245
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
齊藤 信夫 長崎大学, 熱帯医学研究所, 研究協力員 (60626018)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インフルエンザ |
Outline of Annual Research Achievements |
上五島インフルエンザデータシステムを利用し、2009年から2011年3シーズンのインフルエンザデータを解析した結果が、国際雑誌 Vaccineに掲載された(Vaccine. 2017 Jan 23;35(4):687-693)。この論文では、小学、中学、高校の年齢がインフルエンザの流行に最も関与していることを示した。また、現状のインフルエンザワクチンが2年連続して接種すると効果が落ちるという現象を示し、これは過去にインフルエンザ感染がみられなかったグループに顕著であることを世界で初めて報告した。 2017年4月感染症学会総会の口演発表では、2011年から2013年までの小学校、中学校、高校生のデータを解析した結果を報告した。主な結果として、4シーズン連続してワクチンを接種すると、ワクチン効果が落ちていくということを過去の感染を考慮して示した。現在流行防止に最も効果があると期待されているのはワクチンであるが、現状のワクチンの問題点を指摘し、他の予防方法(学級閉鎖、学校閉鎖)の重要性を示すことができた。 現在、2009年~2015年インフルエンザシーズンにおける、全学童、生徒のインフルエンザ受診データを入手し、学校閉鎖、学級閉鎖との関連を解析している。学校閉鎖、学級閉鎖情報の9割を入手した結果では、土日や祝日を入れた4日以上の学校閉鎖は比較的早期にインフルエンザ診断数の低下に繋がっているが、1~2日の学校閉鎖、学級閉鎖では優位な低下はみられなかった。 今後、学校閉鎖、学級閉鎖情報を追加し解析を行っていく予定である。また、ロンドン大学熱帯医学院(アントン・カマーチョ博士)と共同研究で数理モデルを応用し学校閉鎖、学級閉鎖の理想的な方法を検討行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学級閉鎖、学校閉鎖情報がいくつかの学校で欠落しており、情報収集が終わっていないため、学級閉鎖、学校閉鎖の流行に及ぼす影響への解析が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
他の情報源(地域保健所)より学校閉鎖情報、学級閉鎖情報を集積し、解析を行っていく予定である。数理モデルを応用した解析を加えていく。
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Causes of Carryover |
必要情報の収集が不足しており、追加の情報を集めている。具体的には学級閉鎖、学校閉鎖情報がいくつかの学校で欠落しており、学級閉鎖、学校閉鎖の流行に及ぼす影響への解析が進んでいない。予測できなかった状況が生じたため、研究が翌年まで継続となり、翌年の予算が必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
情報収集のための旅費と国際発表の旅費、論文掲載料などで使用する予定である。
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Research Products
(2 results)