2016 Fiscal Year Annual Research Report
Carcinogenicity and species differences by indium compounds exposure.
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15K19252
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉岡 範幸 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70365229)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インジウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では動物実験でラットにおいてのみ発がんが確認されたことに着目し、ITO曝露による発がん機序の解明とその種差を検討する。ITO製造事業所より入手した難容性インジウム化合物である酸化インジウム・酸化スズ焼結体(ITO)、酸化インジウム(In203)、水酸化インジウム(In(OH)3)はレーザー回折法による粒度分布測定を行い、粒子径等を測定した。これらの化合物を超音波槽で分散させてRAW264.7(マウス)、NR8383(ラット)およびTHP-1(ヒト)のマクロファージ株化細胞に0、25、50、100、200、400μg/mlの濃度で曝露した。曝露した結果、それぞれの難溶性インジウム化合物の貪食像が観察されたが、NR8383(ラット)株化細胞が最も高い貪食能を示した。さらに、細胞毒性試験(MTT assay)において、用量依存の生存率低下が観察されたが、NR8383(ラット)株が最も高い感受性を示した。次にCellRox Deep Redによる活性酸素種の測定と、コメットアッセイによる株化細胞のDNA損傷の評価を実施した結果、酸化インジウム曝露において活性酸素種の増加、DNA損傷の用量依存の増加が観察された。これらの結果、難溶性インジウム化合物の毒性には株価細胞の貪食能が大きく関連することが示唆された。さらに、ITOに加えて酸化インジウムの毒性にも注視する必要があることが示唆された。
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