2016 Fiscal Year Research-status Report
脂肪酸摂取からの認知機能低下予防-インスリン抵抗性・炎症の制御機構を介して
Project/Area Number |
15K19253
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
大塚 礼 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, NILS-LSA活用研究室, 室長 (00532243)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脂肪酸 / 認知機能 / インスリン抵抗性 / 炎症 / 縦断研究 / 中高年 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では18年間にわたって追跡された地域住民コホートデータを活用し、脂肪酸摂取はインスリン抵抗性や炎症を制御するのか、また脂肪酸摂取はインスリン抵抗性や炎症を介して増悪する認知機能低下を抑制するのかを検討し、インスリン抵抗性や炎症を制御しつつ認知機能低下を予防しうる中高年期の脂肪酸摂取を明らかにすることを目的とする。
平成27-28年度の解析結果から、①脂肪酸摂取量、血中脂肪酸と糖代謝や炎症関連指標に関して横断解析では、酪酸やヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸など、短鎖や中鎖脂肪酸摂取量は糖代謝や炎症関連指標と負の関連を示すものの、縦断解析では、循環器系疾患や糖尿病既往歴、年齢、喫煙習慣、肥満度、身体活動量、教育歴など様々な調整要因を考慮すると有意な関連性は消失した。また飽和脂肪酸血中濃度や重量比は肥満度と正の関連を認めたが、様々な交絡要因を調整すると有意な縦断的関連性は認められなかった。 ②糖代謝や炎症関連指標、血中脂肪酸との関連では、ヘモグロビンA1cやインスリン、シアル酸などの血中濃度は知能得点と負の関連を示し、縦断解析においても、ヘモグロビンA1cの高い群は低い群に比し、知能得点の低下がより顕著であった。
①②の結果から、糖代謝は知能得点と強く関連している(糖代謝が悪いと知能得点低下が顕著)が、糖代謝や炎症関連指標に対して、脂肪酸摂取や血中脂肪酸の影響は強くない(有意な関連性を認めない)ことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に続いて、脂肪酸摂取とインスリン抵抗性、炎症に関する横断的・縦断的解析を行った。平成28年度に予定していた肥満、インスリン抵抗性、炎症と認知機能に関する縦断的解析をほぼ完遂することができた。得られた主な知見に関する論文の投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は予定通り、インスリン抵抗性や慢性炎症を制御し、認知機能低下を予防しうる脂肪酸に関する探索的検討を行う。最終年度のため、本研究課題での主な知見の論文公表を目指す。
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Causes of Carryover |
論文投稿準備が遅れ、論文作成にかかる経費(校正代金や掲載料)を次年度に持ち越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記、持ち越した研究成果発表は平成29年度に遂行予定である。
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Research Products
(3 results)