2016 Fiscal Year Research-status Report
ホルムアルデヒド遊離型防腐剤が示す抗菌・皮膚感作活性化合物の解明
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15K19254
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
土井 崇広 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (90516767)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | imidurea / イミダゾリジニルウレア / 分解物 / USP標準品 |
Outline of Annual Research Achievements |
イミダゾリジニルウレアはimidureaとして米国薬局方(USP)にも収載されており、USPからは標準品も販売されている。USPではimidureaの規格は「窒素含量が26%以上28%未満であること」として、窒素含量の確認が試験項目として設定されている。我々はこれまでに、親水性相互作用クロマトグラフィーによって、イミダゾリジニルウレア水溶液が少なくとも7種類以上の化合物の混合物により構成されることを確認している。 今年度新たに試薬を購入したところ、以前に分析したイミダゾリジニルウレアとは大きくパターンが異なっていた。当該化合物は他にも複数の試薬会社から試薬として販売されていたため、USP標準品・2次標準とともに合計6社の試薬会社からイミダゾリジニルウレアを購入しHPLCによる分析を実施した。試薬会社で販売しているイミダゾリジニルウレアには、大別すると2パターンの異なる構成化合物よりなるものが存在していた。それぞれ特許文献を参考とした2種類の方法で合成した場合の構成と類似していたことから、このパターンの違いは合成法に由来する可能性が示唆された。2次標準はLC-MSやIR,NMR等を用いて特定のロットのUSP標準品との一致が確認されており、今回の分析結果もピーク面積比を含めてほぼ同等であった。各試薬はUSP同様窒素含量により規格が設定されていたが、HPLCで分析したところピークパターンまたは各ピークのピーク面積値が多様であったことから、品質管理上はHPLCによる分析が有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
購入したイミダゾリジニルウレア試薬が、これまで使用していた試薬と異なる化合物より構成されていることを新たに見出したことから、問題解決のため原因究明を実施した。特許文献を再構成し異なる2つの方法から合成を試みることで、合成法の違いによって生じたものと推定できたが、原因解明に時間を費やしたため進捗が遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
ホルムアルデヒド遊離型防腐剤のうち、特に国内で使用が認められている1,3-ジメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン、N, N''-メチレンビス[N'-(3-ヒドロキシメチル-2,5-ジオキソ-4-イミダゾリジニル)ウレア]について優先的に試験を実施することとする。ホルムアルデヒド遊離型防腐剤の分解物のうち、これまでに調製法を確立できた化合物から順次、direct peptide reaction assay(ペプチド結合性試験)による皮膚感作性試験を行う。ペプチド結合性試験の結果、陰性となったものを中心に抗菌性評価試験を実施することで、皮膚感作性と抗菌性を担う分解物を明らかにできる。皮膚感作性試験・抗菌性評価試験の実施と並行して分解物の調製・合成法の確立を進め、準備が整い次第随時両評価試験にかける予定である。
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Causes of Carryover |
購入したイミダゾリジニルウレア試薬が、これまで使用していた試薬と異なる化合物より構成されていることを新たに見出したことから、問題解決のため原因究明を実施した。特許文献を再構成し異なる2つの方法から合成を試みることで、合成法の違いによって生じたものと推定できたが、原因解明に時間を費やしたため進捗がやや遅れている。結果として影響評価試験の開始時期が予定よりも後になり、それに伴って使用額に残額が出ている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度前半に皮膚感作性試験をまとめて実施することを計画しており、前年度繰越分は当該時期の支出を見込んでいる。平成29年度の計画は並行して当初計画通りの研究実施を考えており、前年度分とあわせて当該年度に使用する予定である。
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