2016 Fiscal Year Research-status Report
世界的なESBL産生菌の拡散に寄与している抗菌薬は何か?
Project/Area Number |
15K19255
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
山口 貴弘 大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 研究員 (80553635)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ESBL産生菌 / コリスチン耐性 / ベトナム |
Outline of Annual Research Achievements |
コリスチン耐性プラスミドに関連する研究を行った。実験には地球規模課題対応国際技術協力事業(SATREPS)「薬剤耐性細菌発生機構の解明と食品管理における耐性菌モニタリングシステムの開発」でにおいてベトナムの鶏肉及び豚肉から分離した、β-ラクタマーゼ産生大腸菌342株を用いた。プラスミド性コリスチン耐性遺伝子(mcr-1, 2)の保有状況を調査したところ、一部の菌株がmcr-1を持つことがわかり、mcr-2は検出されなかった。特に鶏肉から分離された株からmcr-1の検出率が高いことが判明した。を保有する株の一部(40株)を用いて、プラスミド伝達実験を行った。40株中17株でプラスミドの水平伝達が確認できた。水平伝達したプラスミドについて次世代シーケンス解析を行った結果プラスミドのレプリコンタイプはすべてIncI2であり、2015年に初めて中国で報告されたプラスミドと類似していることが判明した。またプラスミドの水平伝達が確認できなかった株の一部についてホールゲノムシーケンスを行ったところ、mcr-1を有するプラスミドのレプリコンタイプはIncHI2であった。この結果からmcr-1を有するIncI2及びIncHI2プラスミドは中国で報告されており、中国からベトナムにコリスチン耐性菌もしくは耐性プラスミドが伝播していると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今までの研究により、耐性遺伝子を保有するレプリコンタイプの異なるプラスミドで水平伝達の起こりやすさが異なる可能性が見出された。引き続きプラスミドの遺伝子解析を進め、水平伝達の頻度・速度に関係する因子について研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度はコリスチン耐性遺伝子を保有するプラスミドの水平伝達実験を行った。プラスミドのレプリコンタイプの違いにより、プラスミドの伝達性が異なる可能性があると推測された。今後、これらのプラスミドについてゲノム解析を行い、プラスミドの持つ耐性遺伝子や水平伝達に関与する遺伝子について研究を進める。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況により必要な物品を購入した結果
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を考慮し、適切に使用する。
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Research Products
(1 results)