2016 Fiscal Year Research-status Report
日本の医療政策が健康格差へ与えた影響を評価する実証分析研究
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15K19256
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
田淵 貴大 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 課長補佐 (20611809)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 健康格差 / 社会政策 / 実証分析 / 喫煙格差 / がん検診受診率格差 / 格差推移のモニタリング / 既存統計資料の活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
中高年者縦断調査および国民生活基礎調査、がん登録資料のデータ利用申請を行い、データを取得した。データを整備し、分析用データを構築した。文献レビューを実施し、研究協力者との議論を通して分析手法を決定した。がん登録資料および国民生活基礎調査データの分析を実施した。大阪府立成人病センターの院内がん登録資料を用いて、固形がん患者におけるがん診断時の喫煙状況の違いに応じた生存の格差についてCox比例ハザードモデルや共変量調整生存曲線モデルを用いて分析し、論文を出版した(Tabuchi T, et al. Int J Cancer 2017;140(8):1789-95)。 国民生活基礎調査データの分析においては先行研究(Tabuchiほか2013)の方法を発展させ、2010年と2013年の各がん検診受診率を社会格差(学歴等)に応じて計算し引き算すること(Difference-in-differences法)により無料クーポン政策が与えたがん検診受診率およびその格差への影響を数値化し評価し、論文を出版した(Tabuchi T, et al. Am J Prev Med 2017(online published))。また、喫煙の学歴格差に関する分析を実施し、論文を出版した(Tabuchi T, Kondo N. J Epidemiol 2017;27(4):186-92)。 健康格差の実態についてこれまで十分に把握されてこなかったため、健康格差の推移を分析した実証研究は先駆的であった。本研究の成果は新聞等報道により周知されたため、健康格差を知る機会を提供でき、自治体等における今後の健康格差の評価・改善計画立案に寄与することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに既存統計資料が得られ、分析することができ、論文化も進んでいる。ただし、論文作成の順序は計画とは一部異なる。
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Strategy for Future Research Activity |
それぞれの既存統計資料が収集できたので、今後はさらに分析を進める。これまでの共同研究者に加えて共同研究者として大阪大学公衆衛生学教授の磯博康先生に参画いただき、協働体制を発展させることにより論文化を加速する。研究成果を新聞やWEB等のメディアを通じて情報発信し、自治体等における健康格差の縮小を目指した政策立案に寄与することをめざす。
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Causes of Carryover |
想定していた人件費・謝金の支出が必要なかったため、その分経費を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画通りの支出に加えて、論文数が計画時よりも増える可能性があり、今後の論文投稿・掲載料にあてる。
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