2015 Fiscal Year Research-status Report
継続診療に繋がる退院時要約作成支援システム開発のためのデータマイニング技術の応用
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15K19263
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岩穴口 孝 鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 助教 (80619198)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 退院時要約 / 看護サマリ / 継続診療 / 機能分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、継続診療に繋がる退院時要約に記載すべき項目の明確化、および現在の入院診療体制を再評価するための診療内容の可視化を図るツールとして診療実績表を作成した。診療実績表は、DPCのEFファイルを元に横軸に日時、縦軸に検査や画像診断、投薬や手術などの診療項目を配置している。診療実績表は日付と診療内容をマトリックス形式で表示することにより、診療プロセスを俯瞰できる。一方、入院中に利用される薬剤や検査を全て配置した場合、雑然とした資料となり、退院時要約に記載すべき項目を確認したり、診療体制を再評価するための示唆を得ることが難しくなる。そのため、実施された診療行為は、変換テーブルを作成し概要が分かる範囲へ変換したのち診療実績表へ配置する仕組みとした。変換テーブルは、退院後の診療ステージにおいても継続的に診療を必要とするもの、侵襲の大きな診療行為、および外来や他医療機関の活用の検討に繋がる情報について整備した。一方、EFファイルのデータで入院中の治療・検査等はおおよそ概観できるものの、人的資源の投入量として多くを占める看護師の活動は確認できない。術後の綿密なケアを要する期間でもEFファイルのみのデータでは抗菌薬しか表現されてないことも少ない。そこで、患者に提供された看護ケアの量を定量的に表現するために、看護ケアマスタに基づく実施入力データを用いた。看護ケアマスタの個々の項目には実測値に基づく中央値が所要時間として設定されている。直接看護ケア量を所要時間として算出し実績表で確認できる仕組みとすることで、退院時点で提供される看護行為が把握できるようになり、継続的に提供が必要な看護ケアを確認できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に構築した診療実績表は、入院診療に要する人・物・金といった医療資源の投入量の可視化を図るものである。また、それ自体が退院時要約を補完し、継続診療に継げるための情報提供ツールとして活用することも可能である。診療実績表に配置した項目と退院時要約、看護サマリなどの記録に記載された項目の適合状況を見ることで、それらの記録が入院中の診療内容を要約したものであるか確認が可能となる。本年度の研究において、退院時要約と診療内容の適合状況を評価する環境整備が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
医療機能の分化・強化と連携の推進に伴い、在院日数は短縮され、施設間または施設と在宅をシフトしながら治療を継続する患者は増加している。これまで、超急性期や急性期で提供されてきた治療・看護についても回復期や地域包括ケア病棟で継続的に提供される必要がある。平成28年度の研究計画としては、平成27年度に構築した仕組みを活用し、特に退院直前まで提供されていた治療内容、看護ケアが退院後の診療ステージで継続的に提供されるよう、退院時要約や看護サマリに記載されているか評価を行う。この評価結果が、退院時要約作成支援システムが提供すべき情報に繋がると考える。
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Research Products
(3 results)