2016 Fiscal Year Research-status Report
継続診療に繋がる退院時要約作成支援システム開発のためのデータマイニング技術の応用
Project/Area Number |
15K19263
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岩穴口 孝 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (80619198)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 退院時看護要約 / 継続看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、看護ケア実施入力データを退院時看護要約(以下、看護サマリ)に繋げることによる継続看護の支援機能の確立を図るために、疾患特性や患者状態が看護サマリの記載内容に与える影響について分析を行った。 対象はA大学病院を平成27年10月から12月に退院した患者のうち、他院へ転院した患者284名とする。対象患者をDPCで分類し、退院直前の看護ケアとして退院日及び退院前日の看護ケア実施入力データの項目と、看護要約との比較分析を行った。また、患者特性(自由度、輸送区分)や看護度が看護サマリの記載内容に与える影響を確認した。 分析結果では、疾患特性であるMDCにより看護サマリへの記載内容に差が生じるが、同一疾患に対する手術の有無による影響は確認できなかった。また、性別や年齢も看護サマリへの記載には影響を与えなかった。一方、患者状態(看護度、自由度、輸送区分)は、日常生活援助と測定に関する記載に影響を与えることが確認できた。つまり、看護サマリによる継続看護のための情報は入院中の診療内容よりも、退院時の患者状態や症状による影響をより多く受けていた。本分析結果は、急性期医療を担う看護師が継続看護のために必要と考える情報について分析したが、受け手側の回復期や在宅でケアを提供するスタッフが必要と考える急性期の情報についても調査を行う必要がある。看護ケア実施入力データを用いれば、看護サマリの作成において、ケア内容、実施回数・時期に基づく定量的な作成支援が可能となる。疾患特性や患者状態と看護サマリの記載内容については一定の関連性があり、入院中の患者特性や看護度の経過により、次の診療ステージへの情報提供についてパターン化できる可能性について示唆が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究は、急性期の看護師が、退院後の患者の診療ステージにおいて必要と考える看護ケアに焦点を当てて分析を行ったものである。本研究成果では、実際に看護師が提供している看護ケアと提供すべき情報との乖離を明らかにすることができた。また、対象患者の情報提供において、既存の看護情報を用いた機械的な作成支援においてもパターン化できる可能性について示唆が得られた。 看護ケアデータと退院時看護要約の比較分析においては、フリーテキスト部分で、人の目視による内容確認が必要な過程があり、調査期間、マンパワーの限界から対象者が限定されてしまった。テキストマイニング等の技法の応用により、より効率的に成果物を得ることが課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までの研究成果は、退院時看護要約の作成支援のみならず、監査システムや記載項目の標準化のための材料として活用が可能である。システムのプロトタイプを過去の診療データで評価した後、実運用への還元を図りたい。
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Research Products
(3 results)