2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K19275
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
二宮 賢司 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20637681)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 局所陰圧損傷 / 吸引損傷 / 胸郭運動障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のテーマである、局所陰圧損傷によって死に至る機序の解明について、これまで所属機関にて行ってきた研究と、それにより得られたデータの再分析を行い、今後実施する実験系のあり方について検討した。その結果、本実験を行う端緒となった事例(Ihama Y et. al. An autopsy case of suction injury. Legal Medicine (2010))に最も近い経過をたどる実験系は、ラットの前肢に陰圧を付加するものであり、またこれが死に至る機序は、胸郭運動障害による窒息であると考えられた。しかしこれまでの実験から、局所陰圧損傷は胸郭運動のみならず、血行動態にも大きな影響を与えることが分かっており、局所陰圧損傷によって死に至る機序には、胸郭運動障害の他、何らかの循環不全が候補として挙がる。このため、局所陰圧損傷によって死に至る機序が胸郭運動による窒息であると、より明確に立証するためには、これら2つの要素を明確に分けることができる実験系の確立が必要と考えられた。この点を解決するためには、陰圧負荷部を阻血することにより、同部への血液流入を阻害する実験系が有用であると推測された。この実験系により、局所陰圧損傷の生体への影響から、血行動態への影響を取り除き、胸郭運動に対する影響のみにすることができると期待される。 以上のことから、ラットの阻血した前肢に対し陰圧を付加する、新たな実験系にて動物実験を行い、生理学的、形態学的検討を加えることとし、所属機関である琉球大学の動物実験委員会から実験の承認を得るため、動物実験計画を申請中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
局所陰圧損傷によって急性死に至るための条件については、一定の知見が得られており、当初想定していた死の機序である胸郭運動障害と循環不全のうち、胸郭運動障害が最も影響が大きいと推測できている。またこのことを立証するための実験系についても作成の目処が立っており、次年度に実験を行えると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
局所陰圧損傷によって急性死に至る機序は胸郭運動障害であるとの仮説に基づき、新たな実験系を用いて仮説の検討を行う。仮説を支持する結果が得られた場合、データを蓄積、整理し、成果発表の準備に進む。得られなかった場合、データの検討を行い、死に至る機序のもう1つの候補である血行動態のより詳細な検討のため、血流計などを用いた脳循環などの評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
予算を有効的に使用するために、年度内に予算額を全額使用するということを行わず、次年度使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究には実験動物が不可欠であり、新たな実験系の検討のためラット購入の必要がある。また、これに付随して各種消耗品(麻酔薬や解剖、組織標本作製のための消耗品)が必要である。
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