2015 Fiscal Year Research-status Report
心臓性突然死におけるSCN5A遺伝子の変異解析とその応用
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15K19277
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
村上 千香子 北里大学, 医学部, 講師 (30433717)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | SCN5A / QT延長症候群 / 急性心機能不全 / 心筋症 |
Outline of Annual Research Achievements |
QT延長症候群(LQTS)のうち、先天性LQTSは主に心筋活動電位の形状や伝搬に異常をきたし致死性不整脈をひき起す疾患で、現在までに13の遺伝子型(LQT1~13)が原因遺伝子として同定されている。すでに心臓性突然死症例においてLQT1およびLQT2の原因遺伝子とされているKCNQ1およびKCNH2遺伝子について変異解析を行い報告している。今回さらに急性心機能不全と診断された症例23例についてLQT3の原因遺伝子であるSCN5A遺伝子の変異解析を行ったところ、検出された変異は24ヶ所であり、そのうち多型は10ヶ所であった。今回新たに検出された変異は8ヶ所であった。2例で検出されたp.Phe532Cysはすでに報告があり、不整脈患者およびBrugada症候群患者各1例から検出されている。変異があった箇所の配列保存性や化学的な特徴、タンパク質構造やドメイン情報をもとに変異がタンパク質の機能に及ぼす影響を数値化する公知の予測ツールであるPolyPhen-2を用いてp.Phe532Cysを解析したところ病原性変異が強く示唆されるprobably damaging(0.999)と判定された。したがって、急性心機能不全ではc.1595T>Gにより致死性不整脈が引き起こされた可能性が考えられた。新たに検出されたc.703+1G>AはIntron6の5’splice siteに位置している。Exon6は141bp下流にほぼ同じアミノ酸配列を持つExonが存在し、これら2つのExonは選択的スプライシングによりisoformを形成している。 今回、5’splice siteに変異が認められたことで選択的スプライシング異常が起きた可能性もあり、mRNAの解析を加えて更なる検討が必要と考えられたことから次年度検討を行うこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SCN5Aの遺伝子解析は終了した。しかし使用する検体が死後の検体であることから、mRNAの解析に死後変化の影響を受けている可能性を考慮する必要があり、死後変化の影響をどれだけ受けるかの検討を加えなければいけないことから、現在mRNAの解析は保留中である。
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Strategy for Future Research Activity |
mRNAの解析がどこまで有用か検討を行い、解析可能であれば遺伝子解析で変異が認められた部位において発現にどれだけ変化があるか検討を行う。
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Causes of Carryover |
mRNAの死後変化の影響を検討するためにSCN5Aの解析を一時中断しているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
mRNAの死後変化による影響の検討が終了次第、SCN5A解析を再開する。
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Research Products
(1 results)