2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K19280
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢可部 満隆 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (10747265)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | サルコペニア / 補中益気湯 / HMB / ビタミンD |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はマウスのマクロファージ様細胞であるRAW264.7細胞を用いて、LPSにより誘導されるIL-6 がHMBにより抑制されることを示した。その作用は、HMBによるPP1α (protein phosphatase 1α)発現増加による、下流のMKK (mitogen-activated protein kinase kinase), MAPK (mitogen-activated protein kinase)のリン酸化抑制を介していることを示した。また、HMBにはNFκB (nuclear factor-kappa B)系抑制作用も認められた。以上はYakabe M et al. RNA and Transcription 1(1): 1-5, 2015にてpublishされた。 補中益気湯を加齢男性性腺機能低下症候群の男性高齢者に投与すると血中遊離テストステロン濃度が上昇することが報告されている。これを踏まえ、補中益気湯が骨格筋に与える影響をin vitroで検討した。C2C12細胞のseedingを行うと同時に補中益気湯を投与し、80-90% confluentになった状態でメディウムを2% horse serumに置換、その2日後に回収した。RNAを抽出しReal-time PCRを施行したところ、筋分化マーカーであるmyogeninが補中益気湯の濃度依存性に上昇した。同様の系において、テストステロンはC2C12細胞のAR (Androgen Receptor) 発現を増加させた。補中益気湯も濃度依存性にC2C12細胞のAR発現を増加させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
SAMP8, SAMR1マウスにHMB, ビタミンD、補中益気湯を投与し、骨格筋に対する効果を検討する実験においては、いずれの群においても対照群と比較して測定項目で有意差を認めなかった。また耐糖能においても有意差を認めなかった。先行研究では高齢マウスに抗myostatin抗体を投与することで骨格筋量や耐糖能の改善を認めている。高齢マウス (12または18ヶ月齢程度)を用いて同様の研究を行うことも検討しているが、臨床業務が想定外に多く、まだ着手できていない。以上のように、現時点で研究目的であるサルコペニアの治療や改善の可能性を示すデータを得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は補中益気湯に含まれる成分の中から、テストステロン様作用を持つ化合物の同定を目指す。さらにその化合物を高齢マウスまたは老化モデルマウスに投与することで、サルコペニアに対する改善効果およびそのメカニズムを検証する。
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Research Products
(2 results)