2017 Fiscal Year Annual Research Report
Flexible bronchoscopy under sedation in older patients
Project/Area Number |
15K19282
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡地 祥太郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (30742407)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 高齢者 / 気管支鏡 / 肺癌 / ミダゾラム / 鎮静 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌をはじめとした呼吸器疾患は高齢者に多く発生し、気管支鏡はその診断に欠かせない検査である。一方気管支鏡検査や鎮静剤使用によって感染、低酸素血症、出血などの合併症も起こりうるため、その安全性やリスク因子について検討することは重要である。今年度は前年度行なった後ろ向き観察研究を発展させ、2011年4月から2016年3月までに施行した80歳以上(older group)の高齢者に対する気管支鏡検査のうち、悪性腫瘍と最終的に診断された患者89例と79歳以下(younger group)の579例についての診断率や合併症、転帰について比較検討した。年齢中央値はolder groupで82歳、younger groupで69歳。performance status (PS)やCharlson comorbidity index (CCI)は両群で有意な差を認めなかった。診断率や病期も両群同等であった。older groupの68%が抗がん剤、放射線、手術などの治療を受けていた。全体の有害事象発生率に両群で有意な差は認めなかった。本研究対象では、全例にミダゾラムを用いた鎮静が行われ、70歳以下では0.05-0.075mg/kgを、71歳以上では0.04-0.05mg/kgを初回静注し、10分以上空けて必要時に初回の半量を投与した(85歳以上は追加なし)。鎮静に関連する有害事象としては、older groupで過鎮静が1例、低酸素血症、低血圧をそれぞれ2例に認めた。以上から80歳以上の高齢者における年齢、体重で量を調整したミダゾラム投与下の気管支鏡の診断率、合併症発生率は79歳以下と同等で、80歳以上の高齢者においても気管支鏡による正確な診断が適切な治療方針決定に有用であることが示された。しかしながら鎮静関連の有害事象については特に高齢者で注意すべきと考えられた。本研究結果は欧州老年医学会雑誌に掲載された(European Geriatric Medicine 2018; 9(2): 255-262)。今後鎮静の有効性や有害事象に関与する因子についての検討が必要と考えられた。
|