2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K19289
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大久保 秀則 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (70622588)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 慢性偽性腸閉塞症 / PEG-J / 新規減圧治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性偽性腸閉塞(CIPO)は重篤かつ生涯にわたりそのQOLを低下させ、時に死に至る難治性疾患である。しかし疾患認知度が低く明確な診断基準が存在しないなどの理由で正確な診断がなされず不適切な管理を余儀なくされた患者も多かった。我々はこの現状を憂慮し世界で初めて明確な診断基準を提唱し、さらにシネMRIという新たな診断モダリティを確立してきた。その成果が評価され、本疾患は平成27年度より新規「難病」に認定されることとなったが、一方で本疾患の消化管減圧治療は未だ確立されておらず、従来のイレウス管療法では患者苦痛が強く、また長期入院を強いられる患者も数多い。本研究では、患者苦痛が少なく在宅治療が可能なPEG-J減圧療法の治療効果を科学的に証明することを目的としている。平成27年度はPEG-Jチューブ療法の有用性のpilot studyをおこなった。現時点でPEG-J患者が7例集積され、①有症状日数、②栄養状態(Alb値、BMI)、③3次元CTによる小腸容積、をエンドポイントとしてPEG-J介入前後で比較した。中間解析の結果としては、治療後は治療前に比べて③は統計的有意差が得られていないが改善傾向である。稀少疾患のため症例数が少ないが、今後症例数を集積することで統計学的有意差が得られる可能性があると考える。一方で、①②に関しては、主観的指標である有症状日数は有意に減少し、また栄養状態の客観的指標であるAlb値、BMIは有意に上昇している。状態有意差をもって改善傾向が認められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性偽性腸閉塞症(CIPO)は非常に重篤な難治性疾患であるが、同時に極めて稀少疾患でもある。その中、全国各地から症例が集積され、PEG-Jの適応を見極め、現時点まで比較的安定して症例が集積されている。現時点では7例であるが、概ね順調な経過と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度中に、一度pilot studyの成果を論文化する。PEG-Jチューブの有用性が科学的に実証された後は、より大規模で、かつ我々がこれまで報告してきた非侵襲的な評価方法であるシネMRIを用いて、小腸蠕動評価を治療前後で比較し、前向きに、より客観的にPEG-Jの減圧の有用性を評価したい。 自覚症状の改善、栄養状態の改善、客観的な画像所見(シネMRIや3次元CTなど)の改善が前向きに示されれば、新規治療法として確立できるものと考える。
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Research Products
(5 results)