2015 Fiscal Year Research-status Report
肝硬度測定を用いたC型肝炎治療後の発癌リスク診断法の開発
Project/Area Number |
15K19290
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
留野 渉 横浜市立大学, 附属病院, 指導診療医 (00644957)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | C型慢性肝炎 / 肝硬度 / MRエラストグラフィ / 超音波エラストグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
C型慢性肝炎に対する抗ウイルス薬治療の前後での肝硬度変化について、MR elastography(MRE)及び超音波エラストグラフィ(フィブロスキャン)を用いて検討を行った。まず、従来の報告でインターフェロン(IFN)ベースの治療で肝線維化の改善効果は著効(SVR)例で-0.28/年と報告されているが、MREやフィブロスキャンで測定した肝硬度で同様の効果が確認できるかを検討した。2年間の研究期間で長期に渡るC型慢性肝炎患者の経過を予測するために、SVR後の経過年数を(i)1年以上4年未満、(ii)4年以上8年未満、(iii)8年以上とし、それぞれの患者群の間で検討した。(i)28例、(ii)27例、(iii)8例で検討を行ったが治療前の肝硬度や患者背景による差の影響を受け一定の傾向は得られなかった。次に、抗ウイルス治療前、抗ウイルス療法終了時(治療開始から6か月後)に肝硬度測定を行い治療前後での比較を行った。当該年度で検討を行ったのは27例であり、IFNベースでの治療(a群)4例、IFNを含まない直接作用型抗ウイルス薬(DAAs)での治療(b群)23例であった。MREで測定した治療開始時の肝硬度は中央値3.6(2.23~8.12)kPaであった。肝硬度変化率の中央値は-23.2%(-45.8~+5.4%)であり、1例を除く26例(96.2%)で治療終了時に肝硬度の低下を認めた。ほぼ全例で肝硬度の改善を認めたが、少数例の検討だが中には肝硬度の改善が乏しい症例も存在した。更に症例を蓄積し、抗ウイルス療法後に肝硬度改善が乏しい症例の特徴を解析する事で、SVR後発癌の高危険群の囲い込みに応用できる可能性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗ウイルス療法による治療終了時にほぼ全例で肝硬度の改善を認めたが、中には肝硬度の改善が乏しい症例も存在した。少数例の検討ではあるが、抗ウイルス療法後に肝硬度改善が乏しい症例が蓄積されその特徴などが今後解明できれば、SVR後発癌の高危険群の絞り込みに応用できる可能性がある重要な結果であると考えられた。しかし治療終了時点では肝硬度改善を認めない症例はごく少数でありその特徴を把握するには至っておらず、今後さらに患者数をリクルートし解析を行う必要がある。また交付申請の段階ではC型慢性肝炎患者で肝細胞癌の担癌患者における肝硬度の解析、SVR後に肝細胞癌を発癌した患者群における肝硬度の解析を行い発癌例での肝硬度の特徴も平成27年度に解析を行う予定であったがこの点はまだ検討できておらず次年度の検討課題とするため、やや遅れている、とした。
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Strategy for Future Research Activity |
抗ウイルス療法の治療前後で肝硬度測定を行った症例については、治療終了から6か月後、1年後と半年毎に引き続き肝硬度の経過を追うことで、治療法や患者背景が肝硬度の改善にどの様に影響を及ぼすか、また肝硬度の改善が乏しい症例の特徴について解析を行う。DAAsによる治療前後、またはSVR後の患者群、SVR後に発癌した患者群、などは目標の症例数に達しておらず、C型慢性肝炎治療後の長期の経過を代表する各時期の患者をより多くリクルートを行う。新規患者のリクルートに当たっては横浜市立大学・肝胆膵消化器病学スタッフの協力を得て行う。また既に研究参加登録を行っているものの治療終了に至っていない治療中の症例も多く存在することからこれらの症例の肝硬度測定を行っていく。平成28年度前半は参加登録及び肝硬度測定を継続・強化して行う期間とし、平成28年度後半を主に測定結果の解析期間とする。
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