2017 Fiscal Year Annual Research Report
The analysis of carcinogenesis and the development of a novel therapy for Barrett's esophageal cancer based on two different precursor lesions
Project/Area Number |
15K19304
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
野村 好紀 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70533280)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バレット食道 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト食道扁平上皮細胞株であるHet1Aに対して既報に従い酸・胆汁酸暴露を行いPhenotypeの変化についてqPCRで評価した.胆汁酸は既報に従い,GCA,TCA,GCDCA,TCDCA,GDCA,TDCAを20:3:15:3:6:1で400 μMのbile mixを作成した.酸・胆汁酸暴露は①胆汁酸のみの暴露,②酸(pH4)のみの暴露,③胆汁酸,酸(pH4)同時暴露の3群で行い,qPCRはCDX2,E-cadherin,Keratin5,MUC2,MUC5AC,MUC6,CD10,vimentinの項目を検討した.①胆汁酸のみの暴露ではヒト食道扁平上皮細胞のqPCRでは有意な変化は見られなかった.②酸のみの暴露では有意にKeratin5が低下し,MUC2が増加した.③胆汁酸と酸の同時暴露でもKeratin5低下,MUC2増加を認め,酸のみの時よりも顕著であった.さらにこの群のみCD10が有意に低下した.以上より食道扁平上皮に対する酸及び胆汁酸の関与は食道扁平上皮の構造蛋白であるKeratin5の低下と,MUC2の増加を来す結果,腸上皮化生への分化を促す可能性が示唆された.また,MUC2は酸と胆汁酸の同時暴露さらにCD10は酸のみと胆汁酸が同時に暴露された場合では異なる変化を示すことから,酸と胆汁酸のバランスにより異なる分化をしていく可能性がある.しかし,バレット食道で認められるCDX2の発現亢進はどの群も認めなかった. 次にバレット食道において,メチル化異常があることを我々が既に報告している事から,メチル化阻害剤5-AZA-2dcを胆汁酸,酸に併用して検討を行ったところ,qPCRにて有意にCDX2が増加した.この事より正常扁平上皮が本来抑制しているCDX2のメチル化が脱メチル化されることでCDX2が過剰に発現しバレット食道に分化していく可能性が示唆された.
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