2017 Fiscal Year Annual Research Report
New therapeutic strategy for NASH-related HCC targeting lipid metabolism
Project/Area Number |
15K19313
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中川 勇人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00555609)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脂質代謝リプログラミング / CPT2 / アシルカルニチン / NASH / 肝癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.マウス肝癌組織を用いてメタボローム解析を行ったところ、特にNASHや肥満を背景に生じた肝癌において、脂肪酸ベータ酸化の中間代謝産物アシルカルニチンが著明に蓄積しており、それはSREBP活性化を通じた脂肪酸およびアシルカルニチン合成亢進の一方で、アシルカルニチンをアシルCoAに分解しベータ酸化を誘導する酵素CPT2の発現が低下していることに起因することを突き止めた。CPT2の発現低下は、過剰なベータ酸化を抑制することで、脂肪毒性による細胞死誘導に重要なSrc-JNK経路の活性化を抑制していることがわかった。またCPT2発現低下の結果蓄積するアシルカルニチンの中で、AC18:1はSTAT3活性化を通じて腫瘍形成を促進していることもわかった。すなわちCPT2発現低下に基づく脂質代謝リプログラミングは、癌細胞が脂肪肝というlipid richな特殊環境に適応するため、過剰なβ酸化を抑制して脂肪毒性を回避すると同時に、蓄積したACを用いて癌幹細胞機能を獲得するという、合目的な反応であることがわかった。またCPT2発現低下は、主に転写因子PPARaの発現低下によって生じていると考えられた。よって今後PPARaアゴニストを用いた治療効果を検討する予定としている。
2.ヒトの肝癌組織を用いてCPT2の発現を解析したところ、マウス同様に特に肥満やNASHを背景として発生するsteatohepatitic HCCにおいて、発現低下がみられることがわかった。
3.NASH肝癌発生におけるSREBP経路の関与については、肝臓特異的SCAP欠損マウスを用いたモデルによって、その病態解析を行っている。
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Research Products
(3 results)