2015 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患における制御性B細胞(Breg)の臨床応用を目指した基礎検討
Project/Area Number |
15K19322
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
西田 淳史 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90719915)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腸炎 / B細胞 / IL-12 |
Outline of Annual Research Achievements |
B細胞の主な役割は抗体産生能であるが、その一方で、様々な疾患モデルにおいて、炎症環境下では、サイトカインを産生するB細胞が存在することが分かってきている。その中で、特に制御性機能をもつB細胞(regulatory B cell;Breg)が注目されている。本研究では、IL-12産生制御性B細胞の臨床応用を視野に入れた基礎検討を完成させ、ヒト炎症性腸疾患での誘導機序、その特性を詳細に検討し、制御性B細胞を用いた炎症性腸疾患の新規治療に結びつく研究を行うことを目的とする。 ヒトの炎症性腸疾患において、IL-12産生B細胞の存在を確認するために、大腸粘膜組織より粘膜下層単核球を単離し、Flow cytometryを用いてIL-12産生B細胞のヒト大腸に存在しているかどうかを検討している。正常の大腸粘膜においては、IL-12産生B細胞は確認されなかったが、炎症粘膜においてはIL-12産生B細胞が確認されたことから、炎症部位に同B細胞が存在していることが考えられた。さらに、同B細胞の分布を検討するために、大腸組織を用いて免疫染色を行っている。現在までの傾向としては、孤立リンパ節に存在するB細胞ではなく、粘膜下層に散在するB細胞がIL-12を産生している傾向にあると考えられるが、さらなる症例数を増やしての検討が必要である。 病勢と同B細胞の関連の検討を行うために、寛解期、活動期、正常での大腸粘膜より粘膜下層単核球を単離し、Flow cytometryを用いてIL-12産生B細胞の数を確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトでのIL-12産生B細胞の存在を確認することが進められているため、概ね順調と考えるが、症例数の蓄積が今後必要である。 また、その機能についてもマウスモデルを用いた検討を今後追加する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト炎症性腸疾患におけるIL-12産生B細胞の検討症例数を増やし、寛解期、再燃時、寛解導入時の細胞数を検討することで、治療効果判定との相関性を検索する。免疫染色においても同様に進めていく。 ヒト大腸粘膜より単離したB細胞をin vitroで培養し、B細胞からのIL-12産生を確認し、IL-12産生細胞、非産生細胞を単離し、表面抗原および細胞内シグナル、転写に関わる因子をChip sequenceなどを用いて検討を進める。
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