2016 Fiscal Year Annual Research Report
Crosstalk between Adipocytes and Tumor Cells in Pancreatic Cancer
| Project/Area Number |
15K19332
|
|---|
| Research Institution | The University of Tokushima |
|---|
Principal Investigator |
木村 哲夫 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (30564489)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
| Keywords | 膵癌 / 脂肪細胞 / 細胞間相互作用 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
近年脂肪組織は、単に「エネルギーの貯蔵庫」として働くだけでなく，様々な組織と直接的ないしは間接的な相互作用を有することが明らかになってきている。本研究では，膵癌組織と脂肪組織における局所での相互作用について検討した。
3T3-L1細胞をadipocyteに分化誘導させ、ヒト膵癌細胞（Panc-1）と共培養を行ったところ、脂肪滴減少とともにFABP4、PPARγ、adiponectinなどの脂肪細胞マーカーの発現低下が認められた。さらにFSP-1などの繊維芽細胞マーカーの発現上昇が認められ、adipocyteの脱分化ととれる形質転化が起こっていることが確認された。この形質転化を認めたadipocyte（以下cancer-associated adipocyte: CAA）のconditioned medium（CM）を用いて、ヒト膵癌細胞株を培養したところ、normal mediumおよびadipocyte-CMに比べ有意に膵癌細胞株の浸潤能・遊走能を上昇させた。また網羅的遺伝子発現解析では、CAA-CMを用いて培養を行ったPanc-1においてserum amyloid A1 (SAA1)が高発現していることが見出されており、これが転移・浸潤能の促進に直接的に関わっていることが示された。さらに、膵外科切除標本を用いた検討で，腫瘍浸潤を受ける脂肪組織は、正常後腹膜脂肪組織に比べ脂肪細胞径の縮小を認め、同部位にはFSP-1の発現亢進を来す脂肪細胞が確認された。また、検討を行った膵癌組織（18例）のうち6例にSAA1の高発現を認め、脂肪組織への直接浸潤部での発現増加が確認された。
膵癌細胞と脂肪細胞の間に癌の転移・浸潤を促進する相互作用があることが明らかとなった。この新たなクロストークの解析により、膵癌の高い転移・浸潤能の病理解明を行う基盤となると考えられる。
|
