2015 Fiscal Year Research-status Report
鋸歯状病変を介した大腸発癌経路における新規脱メチル化遺伝子の同定と機能解析
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15K19333
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
藤野 泰輝 徳島大学, 大学病院, 医員 (60747442)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | SSA/P / メチル化 / 脱メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸鋸歯状病変の一つであるSessile serrated adenoma/polyp(SSA/P)は、右側結腸に好発し、高い癌化ポテンシャルを有することが報告されているが、その発生機序及び発癌機序は不明である。本研究において、右側結腸ACF、SSA/P 及び右側結腸癌組織を用いてDNA メチル化アレイによる網羅的解析、MSP解析及び免疫染色を行ったところ、PQLC1, HDHD3, RASL10B, GJA3, SLC26A2, FLI1 の6つの遺伝子がACF、SSA/P、右側結腸癌の順に高率にメチル化されていることを見出した。一方、SSA/Pでも脱メチル化遺伝子を多く認めた(41.6個)が、右側結腸癌ではさらに多くの遺伝子が脱メチル化していることを見出した(214個)。さらに、今回解析したSSA/Pに共通する脱メチル化遺伝子として、S100P、PKP3, MUC2, S100A2の4遺伝子を同定した。TaqMan PCRでは、正常粘膜と比べS100P, MUC2, S100A2のmRNA量の有意な亢進が認められた。免疫染色では、正常粘膜と比べ病変部(SSA/Pや右側結腸癌)ではS100Pの発現が著明に亢進していた。以上の検討により、ACF-SSA/P-cancer sequenceにおいて、S100P、PKP3, MUC2, S100A2の4遺伝子、特にS100A2の脱メチル化がSSA/P発生や癌化において重要な役割を担っていることが示唆された。現在、ヒト正常大腸粘膜組織、ACF組織、SSA/P組織及び右側結腸癌組織を採取しオルガノイド培養を行っており、これら標的遺伝子の発現を変化させることによる腫瘍形成や悪性度の解析を行っており、今後は更なる検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、最も重要な脱メチル化遺伝子の同定を行うことができたため、現在までの進捗状況としては、おおむね順調に進展している。また、ヒト正常大腸粘膜組織、ACF組織、SSA/P組織及び右側結腸癌組織のオルガノイド培養も行っており、これら標的遺伝子の発現を変化させることによる腫瘍形成や悪性度の解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ヒト正常大腸粘膜組織、ACF組織、SSA/P組織及び右側結腸癌組織を採取しオルガノイド培養を行っており、これら標的遺伝子の発現を変化させた細胞株を用いてcell proliferation assay、migration assay、invasion assay により増殖能、遊走能、浸潤能などの機能解析を行っていき、またin vivoでも解析を行っていく方針である。
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Causes of Carryover |
試薬類の調達努力により,多少の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度経費と合わせて,試薬や解析の経費に使用予定である。
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