2015 Fiscal Year Research-status Report
肝発癌例での次世代シークエンサーを用いたHBV遺伝子変異と宿主遺伝子多型の解析
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15K19345
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小塚 立蔵 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (10726657)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 次世代シークエンサー / 遺伝子変異 / 肝線維化マーカー / 肝硬変 / SNP |
Outline of Annual Research Achievements |
B型肝炎ウイルス(HBV)の遺伝子変異が、肝発癌に影響を与えるかどうか、さらにはウイルス側要因だけでなく、肝発癌に寄与する宿主側要因を明らかにする目的で、核酸アナログ投与例での、肝発癌とHBV全遺伝子配列および宿主遺伝子多型(SNP)との関連性を検討するために、次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析を行った。 1. エンテカビル(ETV)開始後の肝発癌例の臨床的特徴の検討:B型慢性肝疾患に対してETVを1年以上投与した138例を対象とした。ETV開始後の肝発癌例は10例であった。肝発癌例の臨床的特徴として、1)肝発癌は、肝硬変例や肝線維化マーカー高値例に多いことが示された。2)肝線維化マーカーは、ETV開始後の肝発癌予測に有用なマーカーであり、特にAPRI高値例では、肝発癌例が多いことが示された。 2. 肝発癌とHBV遺伝子変異の関連性の検討:ETV投与例のうち、約100例で血清の採取・保存が可能であった。Miseqを用いてDeep sequencingを行い、HBV全塩基配列を決定した。現状では、80例で全塩基配列が決定できており、さらに20~30例を追加解析した後、CLC Genomics Workbenchを用いて肝発癌と関連するHBV遺伝子変異を探索する。 3. 肝発癌と宿主遺伝子多型の関連性の検討:ETV投与例のうち、約100例で全血の採取・保存およびゲノムDNAの抽出ができており、概ね順調に進捗している。次年度は、HBV肝発癌と関連性が報告されているSNPについて解析予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HBV-DNA量の少ない検体では、特にPCRでの増幅過程において、さまざまな調整を要するために時間を要している。現状では対象症例の約80%で全塩基配列を決定した。全対象症例で解析終了後に、肝発癌とHBV遺伝子変異との関係性を検討する予定であるため、現状では、具体的な遺伝子変異の探索までには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 肝発癌とHBV遺伝子変異の関連性の検討:本年度はさらに20~30例で追加解析を行い、予定している約100症例で、Deep sequencingを用いてHBV全塩基配列を決定する。その後に、ウイルス側要因と肝発癌との関連性を速やかに検討する。 2. 肝発癌と宿主遺伝子多型の関連性の検討:全血の採取・保存およびゲノムDNAの抽出は約100以上の症例で終了している。HBV肝発癌と関連性が報告されているSNPとして5~6種類が候補として挙げられる。当初、SNPの解析もDeep sequencingで行う予定であったが、Real-Time PCR System(TaqMan SNP Genotyping Assay)でも十分な解析が可能であるため、多数のSNPを解析することを優先し、SNP解析法を変更する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた学会出席に伴う旅費については、大学の経費から支出したため、本年度は科研費から支出しなかった。このため、次年度使用額が生じたと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は海外での学会出席も計画しているため、旅費として、使用する予定である。
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Research Products
(1 results)