2016 Fiscal Year Research-status Report
超高磁場7テスラMRIを用いたミニマル肝性脳症の発現機序に関する臨床的研究
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15K19346
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
佐原 圭 岩手医科大学, 医学部, 助教 (40405816)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミニマル肝性脳症 / アンモニア / カルニチン / グルタミン / ミオイノシトール / MRI / MRS |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度より継続する研究として、神経機能検査(NPテスト)を用いて、健常者、肝硬変患者の神経機能異常を精査し、ミニマル肝性脳症、顕性肝性脳症の診断を行いその解析を行った。①肝硬変患者においてミニマル肝性脳症は約33%に認め、本邦における従来の報告と大きな差異がないことを確認した。②また、本邦では肝硬変患者の高齢化が進行しており、NPテストにおいて70歳以上の神経機能異常の評価の指標がなかったため、70歳以上の健常高齢者の対象として行った結果から健常者の10%-90%タイルをカットオフ値として70歳以上の高齢者の神経機能異常を判定し、ミニマル肝性脳症の診断の指標を作成した(業績文献参照)。③超高磁場MRI装置を用いて、高精度MRSの測定、MRI T1,T2強調像,Diffusion imageを撮像、測定し,MRSでの検討において、ミニマル脳症を認める肝硬変患者群とミニマル肝性脳症を認めない肝硬変患者群を比較し脳内グルタミンの増加と脳内ミオイノシトールの減少が顕著に認められた。このことからミニマル肝性脳症患者においても従来から顕性脳症患者で確認されているものと同様の脳内物質代謝異常が発現していることが示唆された(業績文献参照)④ミニマル肝性脳症の新たなバイオマーカーの検索として、血清カルニチンを測定し、以前から報告されている血清アンモニアと同様に血清総カルニチンと血清アシルカルニチンの比(Ac-CA / T-CA ratio)が予測因子となることを指摘した。(論文作成中)。⑤肝硬変患者のおけるミニマル肝性脳症患者の発症予測因子を検討し、血中のアンモニア値の上昇、クレアチン値の上昇、eGFR値の低下が予測因子になることを示した。(業績文献参照)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行する研究において基礎となるデータは集められ、研究対象症例も徐々に集められている状況である。 しかし、①健常者のMRI、MRS検査が施行できておらず、対象健常者を集めている状況である。また、血中、便中メタボローム解析、腸内細菌解析が外注検査であり症例数と費用の問題もありまだ、少数例で施行できていない。 対象症例、健常者対照症例を慎重に選定して登録し、次年度に上記の検査の施行予定を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度からの研究において基礎となるデータは集まってきていると考えられ、さらに症例数を増やし、より精度の高いMRS、MRI検査を行い、血液生化学検査(アミノ酸、微量元素、アンモニア、カルニチン等)、血中、便中メタボローム解析、腸内細菌解析等を測定し、画像検査測定値との相関性などを検討し、ミニマル肝性脳症の診断に感度・特異度の高い検査項目を検討する。随時結果を報告、論文化する。
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Causes of Carryover |
対照健常者のMRI、MRS検査が施行できていなかったこと.また、血中、便中メタボローム解析、腸内細菌解析が外注検査であり、少数例しか施行できていなかったこと. 対象症例を慎重に選定して登録し、次年度に上記の検査の施行予定を進めている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
対照健常者のMRI、MRS検査が速やかに施行する. また、血中、便中メタボローム解析、腸内細菌解析が外注検査であり、対象症例を慎重に選定して登録を増やし、今年度(H29年度)にすみやかに上記の検査の施行予定を進めている。
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Research Products
(4 results)