2017 Fiscal Year Annual Research Report
Is congestion only the reason for splenomegaly in liver cirrhosis? -What are the splenic immunological effects on liver fibrosis development?-
Project/Area Number |
15K19350
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
青山 友則 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10622673)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肝線維化 / 脾臓 / リポカイン2 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
肝硬変に伴う脾腫はうっ血が原因とされているが、そもそも脾臓は免疫調節臓器と言われ古来より脾臓の触診は患者の病態を把握するうえで重要な診察方法であった。また、脾臓と腸管の静脈系のみが門脈を介して肝臓に流入しその他の臓器は大循環へ直接流入する。このようなことから我々は腸管由来の外来抗原に対する肝臓の免疫寛容に対して脾臓が何らかの役割を持ち、かつそれらの機構が肝線維化進展にも関連することを仮説とし研究を進めた。四塩化炭素投与による肝線維化モデルにおいて脾臓では抗菌蛋白であるリポカイン2の発現増強を認めた。また、脾組織中ではうっ血だけではなくリポカリン2を発現するGr1陽性細胞の増加を認めた。一方、あらかじめ脾摘を行い四塩化炭素による肝線維化を誘発すると肝線維化が増悪した。またこの時門脈中のリポカイン2濃度は非脾摘群と比べ有意に低下していた。すなわち肝線維化進展において脾臓のリポカリン2が進展抑制に働くことが考えられた。肝在住マクロファージであるクッパー細胞の過剰活性は線維芽細胞である肝星細胞を活性化し肝線維化を惹起する。リポカイン2は他モデルでマクロファージの活性を抑制する報告があることから、本研究でも肝内よりクッパー細胞を単離しリポカイン2を添加した。リポカイン2添加群ではTNF-αの低下を認めた。他方、リポカイン2は肝星細胞の活性には関係がなかった。さらに、リポカイン2が抗菌蛋白であることから腸管滅菌下で同様の脾摘モデルを作成し肝線維化を誘発すると非脾摘群と比べ変化がなかった。以上のことから脾臓由来のリポカイン2はg腸管由来の外来抗原による肝内マクロファージの過剰活性を減弱し肝線維化進展を抑制することが考えられた。肝線維化進展において脾臓は、腸-肝相関に対する肝臓の免疫寛容状態の維持に重要な役割を担っていることが示唆された。
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