2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of collagen producing cell and new therapeutic target of TGF-b signal in colorectal fibrosis
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15K19353
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
今井 仁 東海大学, 医学部, 助教 (40725363)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | クローン病 / 腸管線維化 / TGF-β / YB-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
HSc025の投与により容量依存的に線維化の改善がみられた。これはsircol collagen assay法でも同様の結果が得られた。また腸管切片を用いたリアルタイムPCR法では、同薬剤投与によるCOL1α2の発現低下を確認した。続いて、抗線維化効果に伴う腸管局所のサイトカインの変化を調べた。すると、HSc025投与群では容量依存的にTGF-βの産生低下が示された一方、TNF-α、およびTGF-βの上流とされているIL-13についてはHSc025の薬剤処理による影響はみられなかった。一方、IFN-γについはHSc025投与群の一部に上昇がみられたが有意な所見でなかった。そのため、IFN-γ上昇の反応の確証をみるために大腸所属リンパ節を用いたin vitroでの検討を行った。すなわち、仙骨リンパ節より分離したリンパ球をTNBSを用いた抗原特異的なin vitro刺激を行い、72時間後の細胞上清中のIFN-γの測定を行った。その結果、HSc025 15mg/kg, 75mg/kg群においてIFN-γの高値がみられた。 YB-1の核内移動を誘導する作用を持つHSc025の投与により、容量依存的に腸管線維化モデルに対する抗線維化効果が示された。そのメカニズムにおいて腸管局所のTGF-βの産生量を抑制させ、また所属リンパ節においてIFN-γの作用を増強させることが示された。またTGF-β/Smad signalの本来の役割である抗炎症効果を抑制することによる炎症悪化等の合併症は確認されなかった。既存の分子学的治療法では治療対象外と考えられていたクローン病の線維性腸管狭窄に対して、本研究成果は新規の治療戦略へとつながる可能性を示した。
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