2016 Fiscal Year Research-status Report
ERストレス誘導性細胞死の制御を標的としたNSAIDs起因性小腸潰瘍治療戦略
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15K19354
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
小嶋 融一 大阪医科大学, 医学部, 助教 (10747744)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小腸障害 / NSAIDs |
Outline of Annual Research Achievements |
NSAIDsは、出血を伴う上部及び下部消化管障害を引き起こす。過剰な酸分泌が原因の上部消化管障害と違い、NSAIDs起因性小腸障害は酸化ストレス等に対する過剰な生体反応の結果として引き起こされる。本研究はオートファジー、ERストレス反応及びアポトーシス(細胞死)に関与する分子がどの様に本障害に関与しているかを明らかにする事を目的としている。平成27年度はオートファジーの関与について成果を上げる事が出来た。小腸特異的オートファジー欠損マウス(Atg5小腸特異的欠損マウス)において、インドメタシン経口投与により小腸障害をマウスに誘引した所、予想に反して、小腸障害が抑制される事を当該研究室が報告した(Harada S et al., 2015,JP ET)。これは軽度な酸化ストレスの上昇が、NSAIDs誘引性障害を保護する事を見出した研究であるが、当研究の妥当性を後押しする論文であると考えられる。NSAIDs起因性小腸障害では結合組織中コラーゲンの分解が起こりこれが、粘膜の保護力低下の一因となっていることを以前に報告しているが(Edogawa S et al., 2014, J. Proteomics)、このコラーゲンの分解にVHL(Von Hippel-Lindau)タンパク質が関与している事を明らかにした(Yokoe S., Kojima Y et al.,2015, BBRC)。VHLはVon Hippel-Lindau病の原因タンパク質であり、虚血ストレス応答やがん細胞の増殖等の機能を有し、NSAIDs起因性障害との関連性を見出した事は今後の治療を考える上で非常に有用なことであると考えられる。平成28年度は、論文こそ発表することはできなかったが、酸化ストレス応答及びオートファジー両機能を欠損したマウスの作製の目処をつけることができ最終年度への礎を築くことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、平成27年度中にERストレス関連タンパク質の関与をラット小腸細胞(IEC6細胞)及び遺伝子欠損マウスを用いて明らかにする予定であった。昨年度の中間報告ではERストレス関連タンパク質 (IRE-α,IRE-β)の遺伝子発現を低下させた細胞を樹立する過程が技術的な困難により遅れが生じていると報告したが、平成28年度は遺伝子導入及び遺伝子発現低下法の変更により、困難を突破することができた。しかし、計画からの若干の遅れを完全に取り戻すことはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ERストレス応答反応のNSAIDs起因性小腸障害に関する影響を明らかにする。ERストレス応答欠損細胞(IEC6shIRE-α/IRE -β)については樹立の目処がついたため、最終年度はスピード感を持って計画遂行に邁進する所存である。
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Causes of Carryover |
(理由)主には、学会参加のための予算を計上していたが、都合により不参加となったため使用予定額よりも少額になったと考えられる。その他、計画の若干の遅れに伴い、予算執行が遅れたことが考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(使用計画) 研究実施状況報告書に記載したように、研究の進捗がやや遅れている。しかし、徐々に計画遂行の目処はたってきており最終年度はより一層精進して計画遂行に邁進する必要がある。次年度使用になった研究費については研究を加速させる際の追加の消耗品費として使用する所存である。
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[Journal Article] Determination of the adequate dosage of rebamipide, a gastric mucoprotective drug, to prevent low-dose aspirin-induced gastrointestinal mucosal injury.2016
Author(s)
Ota K, Takeuchi T, Ozaki H, Kawaguchi S, Takahashi Y, Harada S, Edogawa S, Kojima Y, Kuramoto T, Higuchi K
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Journal Title
J Clin Biochem Nutr
Volume: 59 (3)
Pages: 231-237
DOI
Peer Reviewed