2015 Fiscal Year Research-status Report
収縮能の保たれた心不全発症と動脈圧反射機能不全の生理学的/統計学的関係性
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15K19386
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂本 和生 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80722363)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 動脈圧反射 / 心不全 / 自律神経不全 / モデル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は当初の計画通り、自由運動下の動脈圧受容器反射欠損動物で容量不耐性による左心房圧変動と心不全発症の証明と、圧反射系の生理モデルとコンピューターシミュレーションを用いて動脈圧受容器反射機能を層別化する方法を確立した。 動脈圧受容器反射欠損ラット (Sinoaortic denervation; SAD)を用いた実験結果を示す。SADは正常と比較して平均動脈圧は変わらないが動脈圧変動は有意(p=0.001)に拡大していた。これは、正常食塩食および高食塩食でも同様の結果であった。また、SADは平均左房圧は変えないが、左房圧変動は有意(p=0.01)に拡大し、これは 正常食塩食および高食塩食でも同様の結果が得られた。さらに、SADは高左房圧状態を著明に延長させており、高食塩食においては左房圧が18mmHg以上となる時間は正常の20倍にも達した(Sakamoto et al, Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2016)。 この結果は自由運動下の動脈圧受容器反射欠損動物では心収縮能が保たれていても容量不耐性による左心房圧変動と心不全発症を証明できたことを意味する。 また、ラットを用いて、安静時における動脈圧データをテレメトリーシステムにて取得し、得られた動脈圧データを1点/秒としてヒストグラムを作成した。次に、数理モデルを用いて、動脈圧ヒストグラムデータのパラメタを動脈圧受容器反射機能の指標とし、申請者がこれまでに行ってきた動脈圧受容器反射機能解析法 (Saku et al, Physiol Rep, 2014) と比較し、本研究で得られた数値的層別法の妥当性も検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、平成27年度は実験動物でのデータ収集と生理モデルの確立を行った。平成28年度も予定通りにHFpEF患者における血圧データを動脈圧受容器反射機能層別法により解析し、HFpEF患者における動脈圧受容器反射機能不全の存在と心不全発症機序を証明できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は当初の計画通りのスピードで研究を実行することができ、現段階で予想通りの成果が得られている。平成28年度には実験動物データをもとに心不全患者でのデータ収集と解析を行う。最終的には、HFpEF患者における動脈圧受容器反射機能と心不全再入院率の関係を検証し、急性心不全発症および慢性心不全の急性増悪のメカニズムとしての動脈圧受容器反射機能障害の存在を実臨床において確立する予定である。すべての検証試験が終わった段階で学会発表および論文作成を行う。それと並行して知財を確保するための特許出願、取得を行う。これらのタスクに係る技術的障害は現段階でみあたらない。
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Research Products
(1 results)