2015 Fiscal Year Research-status Report
発生学的考察に基づいた、低出生体重児の循環器リスクを明らかにする基盤技術の創出
Project/Area Number |
15K19388
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
有馬 勇一郎 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (60706414)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 低出生体重 / DOHaD |
Outline of Annual Research Achievements |
本年はカロリー制限による出生時低体重モデルマウスの作出に取り組んだ。ICR系統のマウスに対して胎性中期から後期にかけてカロリー制限を施し、出生児の体重が有意に軽いマウスを作出することに成功した(出生時体重 カロリー制限群:1.34±0.10g、対照群:1.82±0.12g)。同様の手法でB6系統でも作出を試みたが、産仔数が少なく再現性の高いモデルを作出することが困難であったため、B6系統の受精卵をICR系統の仮親に移植し、B6系統でも出生児低体重モデルマウスを作出することに成功した(出生時体重 カロリー制限群 :1.27±0.16g、対照群:1.51±0.14g)。これらの実験により得られたマウスを飼育して、体重差・心室重量の変化を検討したが、母マウス1匹あたりの養育胎仔数や母マウスのカロリー制限の有無により生育状況に差が生じることが明らかとなったため、ICRの里親を別に準備して出生後は里親に同数の胎仔を飼育させることとした。その結果、出生児に認めた体重差は4週齢の時点では消失し、同様に心臓重量についても出生児に認める重量差が生体ではなくなることが明らかとなった。 また、他の手法でも出生時低体重モデルを作出するため、出産予定より1日早い耐性18.5日の時点で帝王切開により胎仔を娩出し里親に養育させるモデルも作出した。帝王切開後の保温・呼吸中枢の刺激に努めることで、高い生存率で里親に養育させることに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、異なる系統のマウスにおいて出生児低体重モデルマウスを作出することに成功し、表現型の解析に向けた準備も順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
二年目においては心臓の重量差が消失する原因として、心筋細胞の増殖・肥大がどのようにん関与しているかについて検討を行う方針である。また、今回の実験で介入する胎性中期から新生仔期にかけては、冠循環の成熟や心筋の緻密化といった現象が心臓では生じているため、それらの過程になんらかの変化があるか否かを検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
当初の計画で初年度後半から次年度に着手する予定であった病態モデルでの検討が準備段階に留まったため、当該助成金が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該助成金を用いて病態モデルでの検討を進めるとともに、二年目の計画も並行して進めていく方針である。
|