2015 Fiscal Year Research-status Report
ANP系のミネラルコルチコイド受容体を介する交感神経系抑制機序の解明
Project/Area Number |
15K19392
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中川 仁 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20533730)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミネラルコルチコイド受容体 / ナトリウム利尿ペプチド / guanylyl cyclase-A / 食塩 / 交感神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全や高血圧発症には交感神経系が深く関わっており、中枢性の電解質・血圧制御機構が注目されている.これらは,延髄交感神経核を介して制御されており,視床下部Mineralocorticoid receptor(MR)が促進的に調節している.そして,視床下部MRを介した交感神経亢進が,実験動物においての高血圧・心不全を増悪させる事が近年報告されている.一方,ナトリウム利尿ペプチド(NP)はGuanylyl cyclase-A受容体(GC-A)を介して末梢性にMR活性を抑えて心不全を抑制することが我々の研究で報告されている。本研究の目的は,中枢性にNP系がMR系を抑制し,その結果としてNPが交感神経活性を抑制する作用を通じて、心血管保護作用を有するか否かを検討することである。 まず、中枢性ANP/GC-Aシグナル欠損によるMR-交感神経活性化を検証した。我々の保有する全身GC-A KOマウスを用いて、次のグループにおいて蓄尿カテコラミンを測定し、交感神経活性を評価した。 Group 1: GC-A KO 8匹 エプレレノン脳室投与(30μg/kg/day) 2週間 Group 2: Wild type 8匹 エプレレノン脳室投与(30μg/kg/day) 2週間 MR拮抗薬であるエプレレノン投与前において、GC-A KO はwild type に比べて蓄尿カテコラミンは有意に高値を認めており、GC-Aシグナルが交感神経活性を抑制している事が示唆された。しかし、エプレレノン脳室投与により、蓄尿カテコラミンは変化しなかった。次に、食塩がMR/交感神経活性を亢進させるため、GC-A KOマウスに高食塩負荷を与えたが、さらなる蓄尿カテコラミンの上昇は認めなかった。以上より、GC-A KOマウスは食塩・中枢MR非依存的に交感神経活性亢進を認める可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GC-A KO で交感神経活性が亢進している事が再現性をもって確かめられたが、食塩・MR非依存的に交感神経活性が亢進している可能性が示唆された。我々はMR依存的であると仮説を立てていたため、結果の再現性を確認するため繰り返し実験を行い、研究計画がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験では、エプレレノン脳室投与2週間後の蓄尿カテコラミンは低下傾向を示したが、繰り返し実験を施行したところ再現性を確認できなかった。食塩がMR/交感神経活性を亢進させるため、GC-A KOマウスに高食塩負荷を与えたが、蓄尿カテコラミンは変化しなかった。以上より、GC-A KOマウスは食塩・MR非依存的に交感神経活性亢進を認める可能性が示唆された。 興味深いことに、高食塩負荷ではGC-A KOマウスにおいてのみ、心筋リモデリングのマーカーであるcollagen1やBNPのmRNA発現が亢進しており、GC-A シグナルがないと食塩が心筋リモデリングに対して促進的に作用する可能性が示唆された。 GC-Aシグナルの中枢MR/交感神経に対する検証を継続し、GC-Aシグナルの食塩毒に対する保護効果の検証を、本研究を一部変更して検討する予定である。
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