2016 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア脱共役の心臓および全身に対する長期的影響の探索
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15K19400
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 貴雄 京都大学, 医学研究科, 助教 (30583877)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 脱共役 / 心機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、ミトコンドリア脱共役薬(2,4dinitrophenol: DNP)の慢性投与実験を行った。平成27年度の短期投与実験に引き続き、コントロール群、高脂肪食投与群、高脂肪食+低濃度DNP群、高脂肪食+高濃度DNP群に6週間の投与を行い、生理的パラメーター・安楽死後の病理変化の比較を行った。体重増加は、高濃度DNP群で抑制されたが、食事量は増加した。体温は、高濃度投与群で上昇を認めた。血圧・脈拍に4群で差がなく、心収縮能は保たれていた。臓器重量は、高濃度DNP群で肝重量の増加を認めた。体重あたりの心重量は、DNP投与群(低濃度・高濃度とも)で低値であった。現在、酸化ストレスマーカーの定量を行っている。
平成27年度に、短期投与実験における、心機能の抑制と時間経過に従った心機能の回復を観察し得たが、本年度はそのメカニズムとして心筋のエネルギー不足が惹起されていることを、PCr/ATPのin situおよびin vitroでの計測により確認した。
また、長期にわたる継続投与が、寿命や体温、ROSや老化マーカーや代謝活性の高い臓器や組織をどのように修飾するかを検討し、長期投与の意義・投与期間の目安を明らかにするための、少量長期投与実験を開始している。この実験については平成29年度に主に解析を予定している。また、心不全ラット(ダールラット)モデルへの慢性少量投与を計画中である。上記の実験の結果などから投与量の設定を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における、比較的長期投与の実験を行い、観察・データ収集を行った。当初の計画通り、長期の少量投与実験を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の平成29年度以降の予定する2つの目的に沿って実験を行う。長期にわたる継続投与が、寿命や体温、ROSや老化マーカーや代謝活性の高い臓器や組織をどのように修飾するかを検討し、長期投与の意義・投与期間の目安を明らかにする。心不全モデル動物における慢性的なミトコンドリア脱共役の影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
H28年度は消耗品費(ラット購入、飼料購入)が中心であり、試薬の節減につとめ使用額が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、さらにラット検体の処理、マウス検体の処理に試薬を多量に要する予定であり、次年度予定分と併せて使用予定。
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