2015 Fiscal Year Research-status Report
閉塞性肺疾患の重症化に関わるエクソソームmicroRNAの同定と臨床応用
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15K19405
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 雅 北海道大学, 大学病院, 助教 (10374290)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エクソソーム / microRNA / 難治性喘息 |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソソームは細胞から分泌される小胞であるが、近年、エクソソームには様々な蛋白質や核酸が含まれていることが報告され、特に多くの遺伝子や蛋白発現制御に関与しているmicroRNAが内包されており、そのプロファイルを解析することで非侵襲的なバイオマーカーとなりうることが期待されている。一方で慢性呼吸器疾患の代表である気管支喘息患者の中には重症化・難治化に至る症例も存在し臨床上大きな問題となるが、そのメカニズムは未だ不明であり、また予測することも困難である。本研究で、北海道難治性喘息コホート研究に参加している喘息患者のうち、難治性喘息群4名と軽症・中等症喘息群4名、さらに健常者4名の血清よりエクソソーム分画のみを採取後にRNAを抽出し、次世代シーケンサーにてRNAシークエンシングを施行した。その結果、難治性喘息群では他群と比べてantisense to repeat elementsの減少やantisense to exonsとunannotated RNAの増加が認められるなど、末梢血エクソソーム内のRNAプロファイリングが変化していることが示された。さらにmicroRNAの解析では、難治性喘息群においてmiR-128、miR-140-3p、miR-196b-5p、およびmiR-486-5pが他群に比較して有意に上昇しており、DIANA-mirPath解析では、ErbB signaling pathway、focal adhesion、およびNeurotrophin signaling pathwayがこれらの上昇していたmicroRNAにより制御されうる上位のパスウェイとして同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
喘息の難治化に関係する末梢血エクソソーム内のmicroRNAの候補を同定できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
北海道難治性喘息コホート研究に参加しているより多くの喘息患者の保存血清検体を用い、前述の解析で同定したmicroRNAの発現を定量的PCR法にて検証を行う。さらにin vitroで候補microRNAの機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
遺伝子発現解析をより詳細に行うにあたり、次年度交付分と合わせた予算を用いて購入すべき物品費が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として、Ingenuity Pathway Analysisの購入に充てる。
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