2015 Fiscal Year Research-status Report
M-CSF誘発性リンパ管新生刺激因子VEGF-C,Dの細胞内シグナル解析
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15K19408
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 誠 東北大学, 大学病院, 助教 (10644809)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リンパ管新生 / MCSF / 横隔膜 / VEGF-C / VEGF-D |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度の目的であった、M-CSF添加による骨格筋細胞株からのVEGF-C、-D産性が有意に見られなかったため実験計画を変更した。我々の検討からMCSF投与により横隔膜からも有意なVEGF-C、-Dの産生が見られていたため横隔膜のリンパ管新生に着目し実験を行った。 胸水の貯留には胸膜のリンパ管や血管が関与している。これまで人やマウスの胸膜のリンパ管に関して不明な点が多いため、横隔膜上の胸膜を用いて、正常、及び炎症性疾患としての敗血症モデルマウス、悪性疾患としての癌性胸膜炎モデルマウスを作成しリンパ管等の脈管系を解析した。またMCSFを投与することで引き起こされる影響についても検討した。 C57/B6マウスの横隔膜全体を採取しリンパ管内皮を抗 LYVE- 1抗体、血管内皮を抗 CD31抗体で免疫染色しリンパ管の分布を確認し、リンパ管・血管密度を計測した。次にマウスに大腸菌由来毒素の lipopolysaccharide を腹腔内に投与した敗血症モデル、 Lewis Lung carcinoma Cellsを胸腔内投与した癌性胸膜炎モデルを作成し横隔膜を解析した。敗血症モデルはコントロール群とMCSFを腹腔内投与した群を比較した。 横隔膜では幅の広いバンド状のリンパ管がお互い連結し、脊柱周辺の腱中心から放射状に全体に拡がっていた。癌性胸膜炎モデルではリンパ管密度増加・リンパ管径の拡大がみられた。それらは敗血症モデルではなかったが、MCSFを追加することでリンパ管径の拡大がみられた。血管に有意差はなかった。これらのように横隔膜全体立体構造や分布を明らかにした。癌性胸膜炎モデルでは腫瘍によるVEGF-C,-Dの産生が、敗血症にMCSFを投与した群では横隔膜からのVEGF-C,-Dの産生が関与している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定通りの結果が得られず、別なアプローチを行ったため
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Strategy for Future Research Activity |
①癌性胸膜炎モデルの胸水中のVEGF-C,-DをELISA法で測定する。 ②リンパ管拡大のメカニズムについてはVEGF-C,-Dの関与や、腫瘍によるリンパ管閉塞が疑われるが、胸腔内にエバンスブルーを注入することで横隔膜からの排液量の評価、ならびに横隔膜からどのような経路を経て胸管にいたるかのリンパ流の仕組みを解明する。 ③TOMATO色素を発色するLewis Lung carcinoma Cellsを投与することで、リンパ管内における癌細胞が存在し閉塞しているか確認する。 ④VEGF-R3阻害剤やsunitinib(VEGF-R1-3, FGFR, PDGFR阻害剤)投与により、リンパ管機能が改善し胸水減少がみられるか評価する
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Causes of Carryover |
海外学会参加を見合わせたため予定より旅費がかからなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
抗体、マウスなどの物品購入にあてる
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