2015 Fiscal Year Research-status Report
肺線維芽細胞由来マイクロRNA含有エクソソームによるCOPDの病態、治療法の研究
Project/Area Number |
15K19413
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊狩 潤 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (50734604)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エクソソーム / マイクロRNA / 肺繊維芽細胞 / COPD |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、全身の細胞がExosomeと呼ばれる径30-100nmの微小膜小胞を放出し、他の細胞に核酸(miRNA)等を伝達することが明らかになった。本研究では、肺線維芽細胞によるExosome、Ex-miRNA分泌能を解析した。In vitroで、HFL-1細胞を炎症性サイトカイン(IL-1β、TNF-α)等の存在下で培養し、培養上清から超高速遠心分離法によりExosomeを単離しその存在を確認した。培養上清中の粒子分布を動的光散乱法にて確認したところ、粒子径100nm以下に分布する粒子の存在を確認した。同様の傾向はナノ粒子トラッキング解析でも確認した。電子顕微鏡像でも遠心分離後のpellet内にExosomeに相当する粒子径の円形状粒子の存在を認めた。また、Western blot法でも沈降物質はCD63やβアクチン陽性であり、Exosomeに矛盾しないことを確認した。肺繊維芽細胞の修復能を高める可能性のあるmiR-146aのExosome内での発現について検討した。単離したExosome内のmiR-146a (Ex-miR146a)の発現を定量性リアルタイムPCR法により測定した。無刺激状態では、Exosome内でのmiR-146aは極めて低値であった。一方、IL-1β/TNF-α存在下ではその発現は経時的に増加し、IL-1β/TNF-αは濃度依存性にEx-miR146aの産生を増加した。IL-1β/TNF-αは時間、濃度依存的にEx-miR-146aの産生を増加すると考えられた。以上より、炎症性サイトカイン存在下では肺繊維芽細胞はEx-miR146aの産生を増強する可能性が考えられる。炎症時にオートクライン、パラクライン的にmiR-146aを介した修復反応の増強的反応が生じる可能性が示唆される結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、肺線維芽細胞培養液からExosomeを同定することができた。また肺線維芽細胞の機能修飾に重要なマイクロRNAの解析、検出ができた。またこれらはサイトカインの存在により制御されることを明らかにすることができた。以上より当該年度の研究については、おおむね順調に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、肺繊維芽細胞でのExosome-miRNA産生機構の分子メカニズムの詳細やCOPD、非COPD肺繊維芽細胞を用いて同様の実験を行い、臨床データとEx-miRNAの関連について検討する予定である。
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