2016 Fiscal Year Research-status Report
IGRAsを越える次世代結核診断法確立へ-結核特異的CD4陽性T細胞の臨床研究
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15K19422
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山下 嘉郎 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (30724520)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 結核 / 臨床病期 / 結核関連抗原 / フローサイトメトリー / サイトカインプロファイル |
Outline of Annual Research Achievements |
引き続き長崎県内外の協力病院から結核患者サンプル(血液)を収集し、各結核臨床病期群(発病時、治療中、治療後、接触者)とコントロール群を合わせて、目標であった90検体以上を達成した。 サンプルはリンパ球を抽出し各種結核関連抗連(ESAT-6/CFP-10、Acr、HBHA、MDP-1、PPD)を加えて刺激した後、昨年度までに確立したICS(Intracellular cytokine staining)法を施し、フローサイトメトリー法で分析を行った。フローサイトメーターは引き続きGallios(BECKMAN COULTER社製)を使用した。 評価項目の6種のサイトカイン(IFN-γ、TNFα、IL-2、IL-10、IL-13、IL-17)に変更はない。フローサイトメトリーのデータはデータ解析ソフトFlowJo(Tomy Digital Biology社)を用いて解析を完了した。この結果、IFN-γとIL-2のサイトカインプロファイルは昨年度の報告内容が確定した。つまり、IFN-γの反応では、コントロール群と比較し各臨床病期群とも有意差を認める事(発病時、治療中、治療後:P<0.001 接触者:P<0.05)、そしてIL-2の反応は、コントロール群と比較し、接触者を除いた各群で有意差を得る事(発病時、治療中、治療後:P<0.001)である。課題として挙げていたPolyfunctional T cellの解析では、結核発病後にPolyfunctional T cellを有意に認める事が判明した(p<0.0001)。 各種結核関連抗原に対するCD4陽性T細胞のサイトカインプロファイルは、やはり病期別に特徴的なパターンを示すと思われる。この傾向をさらに見極めるため、長崎大学病院に入院した結核患者の血液サンプルを用いサイトカインプロファイルを縦断的に評価する体制を立ち上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は結核患者サンプルの収集からフローサイトメトリーによる分析、そのデータの解析、成果の公表まで完了する事を目標としていた。サンプル収集とフローサイトメーター分析は目標の90検体以上を達成する事が出来た。これらのデータの解析作業も終了し、この結果サイトカインプロファイルのある一定の傾向を見出す事に成功した。これらの結果を論文にまとめる作業も進行しており、科学雑誌上での成果公表が見込まれるが、28年度中の実現には至らなかった。 また、簡便検査法の開発のため、並行してビーズアレイアッセイを用いた実験を開始し、データ収集を開始する事も目標として挙げていた。こちらは当所属機関での実験体制が整いつつあるも、実際にサンプル収集を開始するにはまだ至っていない。 以上のように平成28年度は、27年度からの継続作業はほぼ完了するも、もう1つの目標として挙げていたビーズアレイアッセイを用いた実験体制構築が中途上にあるため、達成度を「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
フローサイトメトリーを用いた研究成果は平成29年度中に科学雑誌上での公表を目標とする。 ビーズアレイアッセイ自体は一度に大量のサンプルを処理できる特徴を有するため、実験体制の構築が完了すれば、サンプル収集にやや時間を要したとしても、データ解析は速やかに行う事が出来、29年度中に研究が完了する事が期待される。鋭意、実験体制の構築を進め、サンプル収集・データ解析を行っていく。 また、長崎大学病院で結核患者サンプルを用いたサイトカインプロファイルの経時的フォローの体制は整っているため、こちらも対象者が来院次第、随時実行し成果発表を目指す。
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Causes of Carryover |
平成28年度はデータ解析に時間を裂く割合が高く、蛍光抗体等の試薬を大量購入する必要が生じなかった事が、次年度使用額が生じた主な理由と思われる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該助成金は、ビーズアレイアッセイ等に使用する試薬の購入や論文投稿(成果発表)のための費用、あるいは研究打ち合わせ等に使用する予定である。
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