2016 Fiscal Year Research-status Report
Exploratory research of adipocyte related pulmonary cachectic factor and investigation of ghrelin's effect on cachexia
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15K19424
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
坪内 拡伸 宮崎大学, 医学部, 助教 (60573988)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 悪液質 / グレリン / 肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪液質は癌、敗血症、間質性肺炎等の基礎疾患により、進行性に体重減少を伴う筋萎縮をきたす病態である。既存の薬物療法に有効性は無く、癌においては死因の約30%を占める。このため悪液質病態の解明と有効な治療法の解明は急務の医療課題である。グレリンが持つ強力な摂食亢進と抗炎症作用は悪液質の治療として有望であるが、グレリンが癌増殖に与える影響は不明である。本年度は以下の2点の研究課題を検討した。 ①グレリンと癌増殖へ与える影響の検討 グレリンの抗悪液質作用が癌増殖の制御を介しているかを解明するため、KRAS変異を有するヒト肺腺癌細胞株HLC-1を0.01μM、0.1μM、1μM、10μMの濃度のグレリンを添加した培養液で処理し、肺腺癌におけるグレリンの抗アポトーシス活性(TUNEL assay)、増殖能(BrdU assay)、細胞生存率(MTT assay)、ミトコンドリア活性(Mito stress test)を検討した。その結果、グレリンによる直接的な癌増殖促進作用は確認されなかった。 ②肺癌悪液質モデルを用いた抗悪液質作用の検討 肺癌悪液質モデル(肺上皮特異的Pten欠損マウス)におけるグレリン投与は、体重、腓腹筋重量、脂肪重量および28日間摂餌量の減少を抑制した。マイクロCT解析では、グレリン投与群で脂肪体積の減少が抑制されていた。グレリン欠損マウスとグレリン野生型マウスの褐色脂肪組織のmRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行った。グレリン欠損マウスでは、複数の炎症性サイトカインおよびケモカインに関連する遺伝子とアラキドン酸代謝経路に関与する遺伝子の発現が有意に高値であった。 以上の結果から、グレリン投与は肺癌の増殖を誘導せずに悪液質の進行を抑制すること、グレリンシグナルの欠損が炎症の持続に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度および28年度での研究の進捗により、①肺癌悪液質モデルを用いたグレリンによる摂食関連分子の発現の検討と抗悪液質作用、②グレリンの癌増殖への影響、③肺線維症悪液質モデルを用いたグレリンによる抗悪液質作用の検証、④白色脂肪細胞のbeige細胞分化、⑤内因性グレリン欠損による炎症シグナルへの影響を検討した。その結果、グレリンによる視床下部摂食関連分子の発現調節作用、悪液質の進行を促進する白色脂肪細胞のbeige細胞化の抑制作用が明らかになった。KRAS変異陽性の肺腺癌細胞において、グレリンの直接的な癌増殖への影響は認められなかった。グレリン欠損マウスを用いた解析の結果、褐色脂肪組織において炎症とアラキドン酸代謝に関与する遺伝子の発現が亢進していることが明らかになった。以上の研究成果から、本研究課題の解明について当初の計画どおり順調に進展しているもの考える。
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Strategy for Future Research Activity |
肺腺癌悪液質モデルマウスや肺線維症モデルマウスにおける白色脂肪組織の炎症について、現在検討中である。悪液質の進行と交感神経の過活動や慢性炎症の存在が関連することが知られている。グレリン欠損マウスで発現が亢進していた炎症シグナルに関与する遺伝子の発現を、これまでに回収した悪液質動物の脂肪組織(白色脂肪組織、褐色脂肪組織)を用いて検討し、グレリンの抗悪液質作用とこれらの遺伝子の発現変化との関連を検討する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Canagliflozin, a sodium glucose cotransporter 2 inhibitor, attenuates obesity-induced inflammation in the nodose ganglion, hypothalamus, and skeletal muscle of mice2017
Author(s)
Farhana Naznina, Hideyuki Sakoda, Tadashi Okada, Hironobu Tsubouchi, T.M. Zaved Waise, Kenji Arakawa, Masamitsu Nakazato
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Journal Title
European Journal of Pharmacology
Volume: 794
Pages: 37-44
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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