2017 Fiscal Year Annual Research Report
Exploratory research of adipocyte related pulmonary cachectic factor and investigation of ghrelin's effect on cachexia
Project/Area Number |
15K19424
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
坪内 拡伸 宮崎大学, 医学部, 助教 (60573988)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 悪液質 / 肺癌 / ブレオマイシン / グレリン |
Outline of Annual Research Achievements |
悪液質は癌、敗血症、間質性肺炎等の基礎疾患により、進行性に体重減少を伴う筋萎縮をきたす病態である。既存の薬物療法に有効性は無く、悪液質病態の解明と有効な治療法の解明は急務の医療課題である。本年度は以下の2点の研究課題を検討した。
1.悪液質病態におけるグレリン不足について…悪液質病態におけるグレリンの発現については、明確な結論が得られていない。肺上皮特異的Pten欠損マウスを用いて肺腺癌悪液質モデルを作成し、血中および胃組織中のグレリンの発現を検討した。その結果、pair-feeding環境下では、肺腺癌悪液質マウスにおいて血中および胃組織中の発現が低下していることを見出した。また、悪液質病態におけるグレリンの発現低下は、ブレオマイシン(BLM)肺線維症悪液質モデルにおいても同様の結果であった。肺癌および肺線維症における悪液質病態の悪化には、慢性的な炎症性サイトカインの発現亢進が影響する。肺腺癌モデルマウスおよびBLM肺線維症モデルマウスへのTNF-αとIL-6の腹腔内投与は、血中および胃組織におけるグレリンの発現を低下させたことから、慢性的な炎症性サイトカインの発現亢進がグレリンの発現を抑制することが示唆された。 2.グレリンシグナルを抑制する生理活性ペプチドの発現について…肝臓に高発現している抗菌活性ペプチドの一種が、GHSRを介したグレリンの摂食亢進を抑制することが示唆されている。BLM肺線維症モデルの肝臓における発現を検討した結果、BLMによる肺傷害の程度と一致して、グレリンアンタゴニスト作用を有するペプチドの発現が亢進していた。
以上の結果から、悪液質病態における慢性炎症が、グレリンの発現を低下させること、GHSRを介するグレリンの摂食亢進作用を阻害するペプチドの発現が肝臓において亢進することが確認された。
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Research Products
(5 results)