2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of alveolar epithelial injury via lipid-related stress in mammalian target of rapamycin inhibitor-induced lung disease
Project/Area Number |
15K19433
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
國保 成暁 日本医科大学, 大学院医学研究科, 研究生 (90595167)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | mTOR阻害薬肺障害 / Temsirolimus / 脂質代謝ストレス / Pioglitazone / 高脂血症 / PPAR-γ |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】mTOR阻害薬(mTOR-i)は高頻度で薬剤性肺障害や脂質代謝異常を合併することが知られている。脂質代謝異常が肺線維症に関与する報告もあり、脂質ストレス関連因子を介したmTOR-i肺障害の病態について解析した。 【方法】ヒトmTOR-i肺障害2症例を臨床病理学的に検討した。脂質関連分子であるPPAR-γに着目してマウスと培養細胞を用いてmTOR-i肺障害モデルを作製して病理および生化学的解析を行った。C57/BL6マウスを用いTemsirolimusを4週間投与したモデルと、正常対照群としてVehicle投与モデルを、障害対照群としてBLM投与モデルを作製して比較した。培養細胞(マウス肺胞上皮株)においてはTemsirolimusを投与し24時間まで解析した。Pioglitazone投与下で同様にTemsirolimusを投与し影響の解析を行った。 【結果】mTOR-i肺障害2症例においては脂質異常症と泡沫化した肺胞上皮の増生が確認された。mTOR-i投与マウスでは血清中T-choと遊離脂肪酸値が上昇し、血清とBAL中のSP-Dも高値を示していた。Temsirolimus投与によりモデルマウスで肺胞上皮の増生とその細胞質内の脂肪滴貯留が認められ、培養細胞においても脂肪滴貯留の所見が認められた。Temsirolimus投与によりマウス肺と培養細胞においていずれもPPAR-γ発現の抑制がみられた。PPAR-γ agonist前投与にてTemsirolimus投与で生じたcleaved caspase-3の発現が抑制された。 【結語】mTOR-iは、全身性および肺胞上皮における脂質代謝ストレスを介して上皮傷害を惹起していると考えられた。mTOR pathwayの下流に位置するPPAR-γの発現変化がmTOR-iによる肺胞上皮傷害に関与する可能性が示唆された。
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