2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K19438
|
Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
末永 雄介 千葉県がんセンター(研究所), がんゲノムセンター, 研究員 (80581793)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 神経内分泌腫瘍 / 肺癌 / 次世代シーケンサー / 小細胞肺癌 / NE-NSCLC / SCLC |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌は小細胞肺癌と非小細胞肺癌に大別され、非小細胞肺癌はさらに、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌に分類される。小細胞肺癌および大細胞癌の亜型である大細胞神経内分泌癌は神経内分泌性格を示し、予後不良である。また、非小細胞肺癌の細胞形態を示すにもかかわらず、神経内分泌マーカーを発現する癌の存在も報告され、他の非小細胞肺癌に比べて悪性であることが示された。しかし、発がん過程でいかに神経内分泌性格が獲得され、がん悪性化に寄与するかは明らかではない。本研究では、肺癌の神経内分泌性格を制御する細胞内経路を同定することを目的とした。 2015年度はデーターベース(cBioPortal for Cancer Genome)に登録されているがんゲノム情報から神経内分泌性格を制御する因子の探索を行った。肺腺癌346例、小細胞肺癌71例の全エクソン解析の結果をもとに、小細胞肺癌で特異的に変異を起こす遺伝子を検索し、148遺伝子を同定した。この148遺伝子の上流転写因子を予測したところ、26転写因子が有意に選択され、そのうち6転写因子が肺腺癌に比較し、小細胞肺癌で発現上昇していた。これら6転写因子のうち4転写因子は個体発生において神経内分泌組織の分化を制御する。さらに、小細胞肺癌77例の全エクソン解析の結果から、4転写因子の下流遺伝子ではA からGへの体細胞突然変異が非鋳型鎖において有意に上昇し、小細胞肺癌の発がん過程でこれら転写因子が活性化していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がんゲノム情報の網羅的な解析により、小細胞肺癌が個体発生における神経内分泌組織の転写制御経路を利用して、神経内分泌性格を獲得する可能性が見出されたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
ゲノム編集技術により、これら4遺伝子をノックアウトすることで、小細胞肺癌細胞株の増殖や、神経内分泌性格に影響を与えるかを調べる。また、ヌードマウス又はNOD/SCIDマウスに細胞株を移植して腫瘍を形成させ、4遺伝子に対するsiRNAの投与によって腫瘍抑制効果を示すかを調べる。
|
Causes of Carryover |
物品が当初計画よりも安く購入できたため15円が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
振り込み手数料等、翌年度以降に請求する研究費とともに使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)