2017 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of regulatory factors of neuroendocrine features in lung cancers
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15K19438
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
末永 雄介 千葉県がんセンター(研究所), がんゲノムセンター, 研究員 (80581793)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小細胞肺癌 / 下垂体 / 分化 / POMC / ラトケ嚢 / 口腔外胚葉 / 発生 / ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
小細胞肺癌は肺癌の中で最も悪性であり、化学療法や放射線療法といった古典的な治療法以外に有効な治療法はない。5 年生存率は約20%であり、新たな治療法の開発が必要である。我々は、小細胞肺癌の一群が下垂体前葉の発生初期を制御する転写因子を高発現し、90%以上の5 年生存率を示すことを発見した。本年度は、この独自の知見をもとに小細胞肺癌が下垂体経路を利用できるかを調べるため、分化・脱分化法の開発を行った。 患者の生存率と下垂体発生を制御する転写因子との関係を調べたところ、口腔外胚葉の発現パターンを示す検体で5 年生存率が90%以上だった。口腔外胚葉は下垂体前葉の原基であるラトケ嚢が発生する組織である。また、小細胞肺癌細胞を脱脂した牛胎児血清(以下、FCS)を含む培地で培養することで、神経分化が抑制されるとの報告があったことから、小細胞肺癌株を同様に培養したところ、細胞形態が変化し、下垂体転写因子の発現が低下、口腔外胚葉のマーカーが上昇した。これらの結果から、人為的に小細胞肺癌細胞を口腔外胚葉様に脱分化誘導できることが明らかになった。 次に、分化誘導実験を行った。下垂体ホルモンを産生しない小細胞肺癌株を3次元的に培養すると、細胞塊の表面がくぼみ、境界面のはっきりとした小胞が形成されることを発見した。この小胞は1週間ほどかけて細胞塊内部に移動し、2週間後には下垂体の幹細胞マーカーを発現する細胞が出現、下垂体ホルモン前駆体POMCを発現した。さらに2か月間、3次元培養するとさらに神経分化が進み、2次元培養に戻してもほぼ全ての細胞で分泌顆粒を持った状態が維持され、POMC発現量が保持されていた。 以上の結果から、小細胞肺癌は下垂体の発生経路に沿って、分化・脱分化誘導が可能であることが示された。
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Research Products
(4 results)