2015 Fiscal Year Research-status Report
培養単離尿細管遺伝子発現調節系を用いた近位尿細管管腔側輸送体の解析
Project/Area Number |
15K19441
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 元信 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40459524)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | NHE活性 / V-ATPase活性 / 近位尿細管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、① 新鮮な単離近位尿細管(PT)管腔側の全NHE活性の同定、② 培養PT管腔側のNHEアイソフォーム活性の同定、③ PT管腔側V-ATPase aサブユニットの同定についての検討を行った。 ① 新鮮な単離PT管腔側の全NHE活性の同定:マウス、ラットの腎から単離した直後の新鮮なPTおよび腎癌症例から得た正常ヒトPTを、Cell-Takで表面を処理したカバーガラスに接着させ、マニュピレーターに接続した微小ガラス管によりPT管腔側の一部を露出させ、申請者らが開発した手法により蛍光色素BCECFを用いて細胞内pHの測定が可能であることを再確認した。さらに、NHE1特異的阻害剤Capilorideの添加により基底側NHE1活性を抑制し、管腔側NHE活性を同定した。 ② 培養単離PT管腔側のNHEアイソフォーム活性の同定:Na除去により細胞内pH低下をきたすNHE様活性を同定し、アミロライドアナログに対する反応性から、NHEアイソフォームの寄与率をマウス、ラットの腎から単離したPTおよび腎癌症例から得た正常ヒトPTで検討したところ、著しい種差が存在する可能性を見出した。 ③ PT管腔側V-ATPase aサブユニットの同定:マウス、ラット、ヒトの腎から単離した直後の新鮮なPTを用いて、管腔側NHE活性と同様に管腔側を露出した尿細管の細胞内pHを測定し、Na非存在下での細胞内pH回復過程からBafilomycin感受性V-ATPase活性を同定した。また、V-ATPase活性化を介したエンドゾーム酸性化障害についても検討し、マウス培養単離PTを用いてanti-B2,anti-CLC5 siRNA実験によりPTのV-ATPaseにB2 subunitが必須であることおよび、V-ATPase/CLC-5が機能的に共役していること(Pflugers Arch. 2016)を解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新鮮な単離近位尿細管管腔側のNHE活性の同定は、申請者らが開発し報告した手法(Pflugers Arch. 2016)を用い、マウス、ラットの腎から単離した直後の新鮮な近位尿細管および腎癌症例から得た正常ヒト近位尿細管を、Cell-Takで表面を処理したカバーガラスに接着させ、マニュピレーターに接続した微小ガラス管により尿細管管腔側の一部を露出し、申請者らが開発した(Kidney Int.2015)した手法を組み合わせ、蛍光色素BCECFを用いて細胞内pHを測定を行い、細胞内pH変化の測定が可能であることを再確認した。その上で、NHE1特異的阻害剤の添加によりNHE1活性を抑制し、管腔側NHE活性を同定することができた。次に、Na除去により細胞内pH低下をきたすNHE様活性を同定し、アミロライドアナログに対する反応性から、NHEアイソフォームの寄与率をマウス、ラットの腎から単離したPTおよび腎癌症例から得た正常ヒトPTで検討したところ、著しい種差がある可能性を見出した。 近位尿細管管腔側V-ATPase aサブユニットの同定は、マウス、ラット、ヒトの腎から単離した直後の新鮮な近位尿細管を用いて、管腔側NHE活性と同様に管腔側を露出した尿細管細胞内pHを測定し、Na非存在下での細胞内pH回復過程からBafilomycin感受性V-ATPase活性を同定することができた。さらに、申請者らが開発した手法により、マウスの培養近位尿細管でanti-B2,anti-CLC5 siRNA実験によりPTのV-ATPaseにB2 subunitが必須であることおよび、V-ATPase/CLC-5が機能的に共役していること(Pflugers Arch. 2016)を解明した。 このような複数の新規知見を得ており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度の計画を継続、完了させる。 マウス、ラット、ヒトの単離近位尿細管(PT)にLipofectaminを用いてNHEアイソフォーム(NHE3/NHE8)に対する特異的siRNAを導入し、申請者ら開発した手法(Kidney Int.2015、Pflugers Arch. 2016)を併用し管腔側の細胞内pH測定実験を行う。Capiloride存在下で残存する管腔側のNHE活性を測定し、管腔側NHEアイソフォーム活性の比率(NHE3/NHE8)を同定する。またNHE3/8に対するsiRNA導入によるNHE1/V-ATPaseの活性およびmRNA発現量に対する影響も検討する。さらに培養細胞(NHE1とNHE8のみ発現していることが知られているラットPT由来のNRK細胞)にNHE8に対するsiRNAを導入し、細胞内pHを測定し、管腔側NHE8活性および基底側NHE1活性を同定する。同時に特異的抗体を用いたWestern blotおよび定量的PCRにより、ラットNHE8に対するsiRNAの特異性と抑制効率を評価する。またNHE3の発現が確認されているヒトPT由来の初代培養細胞系を用いて、NHE3に対するsiRNAの効果と特異性も確認する。さらに、アミロライドアナログでは、抑制されないNHE様活性については、他の輸送体阻害剤などを使用し検討する。 次に、PT管腔側NHEアイソフォームに対するAngII効果の解析を行う。具体的には、マウス、ラットの単離した新鮮なPTを用いて、管腔側NHE活性に対するAngII作用の二相性作用を確認する。ヒトPT管腔側NHE全活性に対しては、ヒト特異的な濃度依存性の一相性刺激作用も確認する。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] A pure chloride channel mutant of CLC-5 causes Dent’s disease via insufficient V-ATPase activation2016
Author(s)
Nobuhiko Satoh, Hideomi Yamada, Osamu Yamazaki, Masashi Suzuki, Motonobu Nakamura, Atsushi Suzuki, Akira Ashida, Daisuke Yamamoto, Yoshitsugu Kaku, Takashi Sekine, George Seki, Shoko Horita
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Journal Title
Pfluegers Arch
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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